2012 Fiscal Year Research-status Report
有機修飾層状無機酸化物を利用した新奇ナノヘテロ構造の創製
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24760637
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
望月 大 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (90434315)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | チタンサン |
Research Abstract |
複数の金属酸化物種をナノメートルスケールで精密に配置すると、機能の向上や新たな機能の発現が期待できる。層状金属酸化物は多様な元素種から構成可能であり、層間剥離によりナノシートが生成する。金属酸化物ナノシートを一層ずつ積層して多層構造を構築するlayer-by-layer法がある。これに対して我々は、クリック反応の一つであるチオール-エン反応を利用して1 stepで多層構造を構築できる新たな方法を提案した。アルケン基とアルキルチオール基は高収率に反応するため、二種ナノシートを選択的につなぎ、交互積層体を合成できる。本研究では、この手法の幅広い展開を目指し、金属酸化物の種類の選択による構造および有機分子の選択による層間距離を制御することを目的とした。合成例として、層状チタン酸塩と層状タングステン塩の反応例を以下に示す。層状チタン酸をω-アルケントリメトキシシランで修飾し、層状タングステン酸をω-メルカプトアルキルトリメトキシシランで修飾した。有機修飾した層状金属酸化物をN,N-ジメチルホルムアミドに分散させ、一層ずつに剥離した。ナノシートの分散液にラジカル反応開始剤を加え、チオール-エン反応を行った。得られた生成物の構造は、X線回折およびTEM-EDXにより交互積層体であることが示唆され、クリック反応による交互積層体合成法が多様な金属酸化物に適用可能であることが分かった。また、層間に固定化するアルキル鎖炭素数を増加させると層間距離が増加することがX線回折により示された。この層間距離の変化により、光触媒能は距離が短い時に活性が高いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定した通り、チタン酸タングステン酸の交互積層体の合成に加え、新たな組み合わせも合成することに成功し、計画以上に進行している。また、色素との複合化も電子移動実験まで進んでおり、おおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、本研究で作製した交互積層体を利用した光触媒機能を評価する。新たに光触媒評価装置を購入し、得られる触媒性能を正確に評価するとともに、原理の解明を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度に合成用化学器具の購入を計画していたが、計画を変更し光触媒機能評価を次年度にまわしたため残額が発生した。発生した残額は、光触媒機能検討に、光触媒評価装置を購入する原資とする。
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