2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760639
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺村 謙太郎 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80401131)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光触媒 / 分子状酸素 / 選択酸化 |
Research Abstract |
これまで申請者は①固体光触媒のみを用いる,②固体表面上に錯体を展開させる,③錯体と固体との協同効果を利用するという3つのアプローチによって設計された光触媒系を用いて高難度選択光酸化を実現してきた.平成23年度においては,「反応に最も適した活性酸素種」の形成の重要性を明らかにするために,これらのアプローチに基づいた反応および活性酸素種の検討を行った.①については酸化ニオブ上でのアルコールおよびアミン類の選択光酸化を行い,高い活性を示すことを明らかにした.本反応は吸着種由来のドナー準位からNb2O5の伝導帯への直接遷移が起こること,つまり基質が酸化ニオブ上に吸着して形成された表面錯合体自身が光励起されることによって,バンドギャップより長波長側の可視光で反応が進行したものと結論した.②についてはシリカ担持バナジウム酸化物上でのプロピレンの選択光酸化を行い,0.1wt%V2O5担持量のものが最も高い活性を示すことを明らかにした.りん光スペクトルによる検討から,担持量を増加させると発光スペクトルがレッドシフトすることを明らかにした.担持量を一定にし,担体のシリカの比表面積をコントロールすることによって単位面積当たりのバナジウムの量を増やしても同様なスペクトルの変化を観察した.X線吸収スペクトル等による特性評価によって,バナジウムの構造は変化していないことから,シリカ上に高分散されている孤立四配位バナジウム種同士が相互作用していると結論した.③については鉄ポルフィリン錯体と固体塩基の協同効果を利用したオレフィンの光エポキシ化を行い.層状複水酸化物LDHと鉄ポルフィリン錯体を共存させると高い活性が得られることを見出した.現在詳細を検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が本研究において最も明らかにしたいことは高難度選択光酸化における「反応に最も適した活性酸素種」の形成の重要性である.これまでに我々は各種炭化水素の光酸化においてTiO2を用いると完全酸化が進行し,選択酸化生成物への選択率が著しく低下することを報告している(J. Phys. Chem. C, 2009, 113, 17018).これは代表的な光触媒であるTiO2上ではかなり低濃度の活性酸素種が複数生成され,かつその中には強力な活性酸素種も含まれていることから,低濃度の有機物質であれば完全に無機化できることを示している.つまり,TiO2は高難度選択光酸化に不向きであり,これを達成しようとするならば,選択的に炭化水素に挿入されるような活性酸素種を形成する必要がある.申請者はこの仮定に基づいて,高難度選択光酸化が進行する光触媒系において,「反応に最も適した活性酸素種」が生成していることを証明したいと考えており,本年度においては我々の提案した①固体光触媒のみを用いる,②固体表面上に錯体を展開させる,③錯体と固体との協同効果を利用するという3つのアプローチによって設計された光触媒系を立ち上げ,それぞれについて「反応に最も適した活性酸素種」が生成している可能性を見出している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は活性酸素種の正体について,引き続き分光学的な手法を用いて検討を行う予定をしている.活性種の正体が限定されれば,高活性を示す触媒の設計を行い,実際に合成の検討を行う.①についてはNb2O5表面のOH基の量や強度を変化させるために,Nb2O5ナノスクロールやNbを含んだ層状化合物の合成を行う予定である.②については,表面のバナジウム密度が大きく影響をしていることがわかっているため,シリカの合成手法を見直す予定である.さらに反応に寄与していると考えられる孤立四配位バナジウム酸化物種の格子酸素の環境を変化させるため,孤立四配位バナジウム酸化物種への配位子修飾を検討する.③についてはこれまで鉄ポルフィリン錯体のみで検討を行ってきたが,①活性や選択性(オレフィンの転化率及びエポキシドの選択率),②可視光応答性,③耐久性という観点から新錯体の検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額264円については事務手続き上のミスであり,来年度に繰り越して使用する予定である.
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Research Products
(5 results)