2014 Fiscal Year Annual Research Report
病原性阻害技術への応用を目指した高機能アシル化ホモセリンラクトン分解酵素の探索
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24760643
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
諸星 知広 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90361360)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クオラムセンシング / アシル化ホモセリンラクトン / 好熱菌 / 耐熱性酵素 / ラクトナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
多くのグラム陰性細菌は、アシル化ホモセリンラクトン(AHL)を介したクオラムセンシングにより病原性発現を制御しており、AHLを人為的に分解することで、クオラムセンシングの活性化が抑制され、病原性発現を阻害することが可能である。昨年度までの研究で、好熱性細菌Thermaerobacter marianensisのゲノム上に既知のAHLラクトナーゼ遺伝子と相同性の高い遺伝子(aiiT)が存在することを明らかにし、AiiTは実際にAHL分解活性を有することを明らかにした。本年度は、AiiTが耐熱性AHL分解遺伝子として機能するか詳細な解析を行った。昨年度構築したAiiTとマルトース結合タンパク質(MBP)との融合タンパク質発現系を用い、アミロースレジンカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーによりAiiTタンパク質を精製した。AHL分解活性は、一定時間内に分解されたAHLをHPLCにより定量することで行った。AiiTの至適AHL分解温度を調べたところ、既知のAHLラクトナーゼは至適分解温度が50~60℃付近であるのに対し、AiiTは70~80℃付近と非常に高いことが明らかとなった。次に、AiiTの熱安定性を調べるため、精製AiiTを様々な温度で10分間プレインキュベートし、至適温度付近での残存AHL分解活性を比較した。その結果、既知のAHLラクトナーゼは60℃付近のプレインキュベートでほぼ失活してしまうのに対し、AiiTは80℃のプレインキュベートでも50%以上の活性が残存していた。以上より、AiiTは耐熱性のAHLラクトナーゼとして機能することが明らかとなった。
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