2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒトTOLL様受容体9の非メチル化一本鎖DNA認識部位の同定
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24760655
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山崎 智彦 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (50419264)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | トール様受容体9 / TLR9 / アレルギー / 合成オリゴデオキシリボヌクレオチド / CpG ODN / DNA結合 |
Research Abstract |
本研究では、自然免疫において重要な役割を果たしているヒト由来トール様受容体9 (Toll like receptor-9 : TLR9)の非メチル化一本鎖DNA(CpG ODN)認識部位を同定することを目標としている。平成24年度は研究実施計画に従い、「ヒトTLR9のホモロジーモデリングとLRRドメインC末端のCpG ODN結合部位の同定」を行った。 TLRはI型膜たんぱく質であり、細胞外にあるリガンド結合領域であるロイシンリッチ(LRR)ドメイン、Toll/IL-1 receptor(TIR)と呼ばれる細胞内テールを持つドメイン、膜結合ドメインから構成されている。TLR9は発現量が低く、疎水性が高いこと、また蛋白質として不安定であり溶液中で容易に分解されることから、結晶を得ることが困難であり、立体構造解析は解析には至っていない。本研究では、TLRファミリー間では2次構造の相同性が高いことを利用して、既に立体構造が報告されているTLR1/2/3/4からホモロジーモデリングによりヒトTLR9の立体構造予測を行った。その結果をもとに、CpG ODN結合部位として予測されたアミノ酸をアラニンに置換した変異体を作成し、TLR9変異体の機能をTLR9野生体との比較を行ったところ、H505, Q510, H530, Y554をアラニンに置換したTLR9変異体は機能を失ったことを見出した。立体構造予測よりH505, H530, Y554はLRRドメインにおいてプラスにチャージしたクラスターを形成しており、この部位にマイナスにチャージしたDNAが結合することが示唆された。本研究成果はBiochemical and Biophysical Research Communications (volume 430, p1234-9, 2013年)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、研究を進め成果も得られており、その成果はすでに学術論文として発表していることから、順調に研究が進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
【LRRドメインN末端のCpG ODN結合部位の同定と結合・解離の定量解析】 3) LRRドメインN末端のCpG ODN結合部位の変異体の作成 LRRドメインC末端のCpG ODN結合部位の変異体の作成と評価と同様に、立体構造予測を基に、TLR3の2本鎖RNA結合部位に相当するLRRドメインのN末端(LRR1~LRR7)を重点的に変異体を作成し、in vivoならびにin vitroでの評価を行う。 4) 表面プラズモン共鳴(SPR)法を用いた結合・解離のカイネティクス解析、円二色性スペクトル(CD)を用いたコンフォメーション変化を指標とした結合・解離の解析によるDNA認識機構の解明 LRRドメインN末端ならびにC末端の2か所のDNA結合部位を同定した後に、代表的な変異体(N末端、C末端の単一変異、両方のダブル変異体)ならびに天然型TLR9とCpG ODNとの相互作用をSPR法を用いた結合・解離のカイネティクス解析で評価する。また、リガンド結合によるTLR9のコンフォメーション変化をCDを用いて観察する。これらの結果より、一本鎖DNA認識、DNA結合に起因する立体構造変化、アダプター蛋白質のTLR9への結合の一連の反応からなるTLR9の非メチル化一本鎖DNA認識機構を解明解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TLR9の変異体作成のための遺伝子工学試薬、TLR9とCpG ODNの結合・解離の定量解析のためのTLR9の大量調製のための昆虫細胞発現ベクターの構築ならびに昆虫細胞培地、また解析のための消耗品費に研究費を使用する。また国内ならびに国際学会での成果発表を予定しており、そのための旅費を計上している。
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