2012 Fiscal Year Research-status Report
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24760658
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桑原 聡文 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30601033)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超小型人工衛星 / 姿勢制御系 / 地上評価環境 / 信頼性向上 / 理学観測 / 短期開発 / 国際情報交換 / ドイツ |
Research Abstract |
平成24年度は当初の研究計画において設定した4つのステップのうち最初の2つに取り組んだ。まず、研究の対象となっている開発・評価環境の土台となるソフトウェア環境のアーキテクチャ設計を行った。更にSoftware-In-The-Loop-Simulation(SILS)環境の構成要素となる衛星搭載機器のソフトウェアモデル群、宇宙環境を模擬する環境モデル群の開発を行った。これらの動作を確認し、仮想宇宙空間において人工衛星のソフトウェアモデルが動作することを確認した。これにより、搭載ソフトウェアをSILS環境内で実行できる準備を整えることができた。次に搭載電算機を交えたHardware-In-The-Loop-Simulation(HILS)環境に必用となるインターフェース装置であるモジュール化フロントエンドの整備を開始すると共に必要となるアプリケーションの開発を実施し、ソフトウェアモデルと実機モデルが通信できる環境を整えた。また新規開発となる動的閉ループ環境の構成要素となる空気浮上ベアリングテーブルの設計、開発を行った。動的シミュレーション環境に関してはその開発と評価に当初の想定よりも長い期間にわたる作業が必要となることが判明したため、H25,26年度の作業内容の一部をH24年度に繰り上げて実施した。具体的には空気浮上ベアリングテーブル、及びその姿勢検出に用いる高速カメラシステムを整備し、姿勢検出精度、空気浮上ベアリングテーブルの外乱摩擦、外乱トルク、及び重心位置の調整限界の評価・解析を先行して実施した。その結果、設計した環境と選定した機器によって目的のシミュレーション精度を達成できる目途を確認した。また、同テーブルに搭載する電源装置、重心位置合わせ装置を開発した。これによって衛星の姿勢制御系の機器を搭載し、動的シミュレーションを実施できる環境がほぼ整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は当初の研究計画を実施していく上で必要となる要素技術開発の研究に取り組み、その全体の実現可能性の目途を立てることができた。H25,26年に実施する予定であった研究活動の一部もH24年度に繰り上げて実施することができた。一方、ソフトウェア環境の作り込みという意味ではまだ作業が残っている。その意味で「おおむね順調に伸展している」と評価する。研究計画にあるように、これまで当研究室で実施された超小型衛星プロジェクト、及び現行の超小型人工衛星プロジェクトでの研究成果を統合し、本研究活動に最大限適用することを目指しており、H24年度はその一部を実施することができた。具体的にはRISING-2衛星プロジェクトにおける姿勢制御系の構築と地上評価に関する研究成果を精査し、本研究において活用できるように努めた。H24年度に計画していた研究計画の中の第2ステップは概ね達成することができたが、第1ステップは環境の整備は実施したものの、実搭載電算機を組み込んだ状態での実証がまだであり、H25年度以降への繰り越し課題となっている。H25年度以降に予定していた動的シミュレーション環境の構築はH24年度に先行して取り掛かり、その約5割の課題を消化することができた。また、同じくH25年度以降に予定していた静的閉ループシミュレーション環境の構築に関しても、モジュール化フロンドエンドを介した通信の基本的な動作確認を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度には3つ目のステップである衛星システム全体を対象とした静的閉ループシミュレーション環境を構築する。シミュレーション環境と衛星の実搭載機器との間の通信を実現するためのモジュール化フロンドエンドの完備を目指す。また、搭載通信機器、及び地上コマンド/テレメトリサーバ等についても実機を導入し、実際の運用に限りなく近づけた開発・評価環境を構築する。また、リアルタイムシミュレーション実現のための実時間シミュレータを整備する。動的閉ループシミュレーション環境の構築とその評価を進めると共に、テーブル上に搭載される機器とシミュレーション環境との通信を実現するための無線通信装置を整備する。テーブルの慣性モーメント推定アルゴリズムを開発し、シミュレーションに必要な重心合わせの精度を達成できることを評価・確認する。 現行の超小型人工衛星プロジェクトの進行に沿いながら環境の開発・評価を実施していく。そのため、ステップ2,及びステップ3の実施を最も重要視する。これらの評価が済み次第、ステップ1のSILSに関する研究開発に取り組み、同環境内で搭載ソフトウェアの実行と評価が想定通り実現可能であることを実証する。以上の研究活動の内容をもってH26年度に計画している動的閉ループシミュレーション環境構築の土台が整う。 H26年度には、開発した環境を用いて現行の超小型人工衛星プロジェクトの実搭載機器に対して動的閉ループシミュレーションを実施し、衛星搭載機器の機能を評価すると共に、開発したシミュレーション環境の性能の評価を実施する。評価結果に基づき機能の修正、変更及び追加が必要となることが予測されるため、当初の研究目的が達成できるよう、評価結果に基づいて適宜環境の性能改善に努める。超小型衛星打ち上げ後は地上におけるシミュレーション結果と、軌道上データを比較することにより開発した環境の性能評価を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額のうち78,000円は3月までに執行を完了した4月支払分である(直接経費・その他に該当)。また、残りの141,620円は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Laser Data Downlink System of Micro-satellite RISESAT2013
Author(s)
Toshinori Kuwahara, Kazuya Yoshida, Yoshihiro Tomioka, Kazufumi Fukuda, Hiroo Kunimori, Morio Toyoshima, Tetsuharu Fuse, Toshihiro Kubooka, Junichi Kurihara, Yukihiro Takahashi
Organizer
27th Annual AIAA/USU Conference on Small Satellites
Place of Presentation
Logan, Utah, USA
Year and Date
20130810-20130815
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