2012 Fiscal Year Research-status Report
繰り返し形状フォーミング可能な適応構造システムの研究
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24760663
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
仙場 淳彦 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60432019)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 形状記憶ポリマ / 膜構造 / 可変構造 |
Research Abstract |
本研究は, 宇宙用構造材料と構造様式の両面から従来の構造システムを革新することを目指し, 宇宙構造材料として形状記憶ポリマを用いた3次元可変形状部材の提案とそれらが宇宙空間で自在に変形・結合・分離を繰り返し行う形状フォーミング(Shape Forming), すなわち, 軌道上で理想的な構造システムを適応的に形成する宇宙構造様式の提案を行うものである. H24年度は,本研究で検討予定である軌道上形状フォーミング手法の中で, 形状記憶ポリマに予め与えた変形を宇宙空間で再加熱する方法を検討した. この応用方法には, 宇宙膜構造の変形制御が挙げられる. 今年度は正方形膜を用いた基礎的実験を行い, 形状記憶ポリマによる形状制御の実現性を検証した.その結果, 正方形膜のシワや弛みを予歪を持つ形状記憶ポリマ製パッチ状部材の形状回復により, 膜のシワや弛みに対応する面外変形の制御が可能であることが明らかになった. 一方で, 面外変形の低減のみならず, 局所的には面外変形が増加する領域とほとんど効果がない領域が存在することも明らかになり, これらの現象を総合的に考察することにより, 形状記憶ポリマ部材の最適配置や部材形状の最適化などに繋がる可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は, 提案する繰り返し形状フォーミング構造概念を膜構造に適用することにより, その有用性を示すだけではなく, 世界中の構造系研究者が集う米国航空宇宙学会の第54回構造・構造動力学・材料に関する会議における成果発表の機会を得ることができた(発表日2013年4月11日). また, イリノイ大学における調査研究ならびに共同研究者とのディスカッションにより, 研究計画当初には含まれなかった構造制御手法に関する知見を得ることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
形状フォーミング構造概念に基づき, 膜構造の弛みやシワを抑制するための応力分布の制御方針や制御効果について, H24(初年度)に明らかになった課題に関してさらに検討を行い, 軌道上における膜の変形や張力状態を理想的に自己制御可能な適応膜構造に関する検討を行う予定である. また, 形状記憶ポリマ材料を構造に取り入れた適応構造の軌道上における繰り返し形状制御法に関する検討を行い, 予め与えた変形を一度に形状回復させる方法を拡張した改善手法を検討する. 加えてその実験的検証方法に関する検討を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費(H24からの繰越含む)の中で, 物品費は, 繰り返し形状フォーミング構造概念に基づいた膜構造の弛みやシワを抑制するための応力分布の制御方針や制御効果について検討を行うための解析装置およびソフトウェアライセンス, また, 形状記憶ポリマ材料を構造に取り入れた適応構造の軌道上における繰り返し形状制御法の実験検証に掛かる構造材料, 形状記憶ポリマ材料, 実験周辺機材等の購入を行うために使用する. また, 旅費は, 国内外の連携研究者との研究打ち合わせのための国内旅費(大阪、東京)および海外旅費(米国イリノイ大学, 他)として使用する.
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Research Products
(3 results)