2014 Fiscal Year Research-status Report
繰り返し形状フォーミング可能な適応構造システムの研究
Project/Area Number |
24760663
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
仙場 淳彦 名古屋大学, ナショナルコンポジットセンター, 助教 (60432019)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 形状記憶ポリマ / 粘弾性 / 適応構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討により, 形状記憶ポリマーを用いた適応構造システムの基本的実現性が明らかになったため, 宇宙環境において実現可能な材料加熱法に関する検討を主に行った. 具体的には, カーボンの微粒子と水, ポリウレタンからなる導電性の塗料状ヒーターを形状記憶ポリマーの試験片の表面に塗布することにより, 試験片の表面を一様に近い状態で加熱できる可能性を調べた. まず, ヒーターを塗布した形状記憶ポリマー部材の加熱性能を確認し, 続いて, ヒーターの有無による機械的特性の変動を粘弾性特性の測定により評価した. 粘弾性モデルには, 二つの並列バネとダッシュポットからなる単純なモデルを用いて, 応力緩和とクリープの両特性が表現できるものとした. その結果, ヒーターとしての機能においては, 塗料状ヒーターによる加熱方式は形状記憶ポリマーの形状回復に必要なガラス転移点の温度以上に十分加熱が行えること, また, 加熱特性の変動は見られるものの, ヒーター表面にひび割れの生じる程度の大きな引張ひずみを与えた場合にもヒーターとしての機能は維持されること, が確認された. 次に, ヒーターの有無による機械的特性の変化を応力緩和試験とひずみ速度一定による引張試験により評価した. その結果, 塗料状ヒーターを塗布した形状記憶ポリマー部材の粘弾性特性において, ヒーター塗布後の形状記憶ポリマー部材の粘弾性パラメータのうち応力緩和率は, ヒーターがあるときの方が, 無いときよりも低下したことから, 適応構造システムの部材として機能させる上では, ヒーターの付加による数学モデルの修正が高精度の挙動予測には重要であることが明らかになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
塗料状ヒーターを形状記憶ポリマーに塗布して乾燥後, ヒーター付き形状記憶ポリマー部材を試験片として引張り試験を行い, 機械的特性およびヒーター層の強度などの重要な特性を明らかにする計画であったが, 引張り試験機の不具合により, 当初予定した実験の一部は実施不可能になったため.
|
Strategy for Future Research Activity |
引張り試験機の不具合により, 当初予定した実験の一部は実施不可能になったため, 試験機の修理や設定の改善を行い, 予定した実験を全て実施しヒーター層を含む形状記憶ポリマー部材を用いた繰り返し形状生成の可能な構造システムの実現性を評価する.
|
Causes of Carryover |
試験機の不具合により, 塗料状ヒーターを持つ形状記憶部材の機械的特性の評価が計画より遅れ, 試験に必要な材料費および消耗品費などが執行されなかったため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年に計画したように塗料状ヒーターを塗布した形状記憶ポリマーからなる試験片の応力緩和試験, ヒーター層の強度試験などを実施するための材料費および消耗品の購入に当てる.
|