2013 Fiscal Year Annual Research Report
データ同化を援用した宇宙機熱変形の効率的な定常状態予測に関する研究
Project/Area Number |
24760667
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
秋田 剛 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (20405343)
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Keywords | 定常熱試験 / 過渡熱応答 / パラメータ同定 / 熱解析 |
Research Abstract |
本研究では,熱変形が問題となる高精度宇宙機構造の設計・開発を迅速化・高精度化を目指し,低コストで信頼性の高い熱変形の定常状態予測法の構築を目標とした.本研究では,簡便な定常熱伝導の理論式から導出可能な指数関数を基底関数とした温度予測式を提案した.本方法では,熱試験の過渡データが指数関数的な振る舞いをすることに注目して,熱モデル式を指数関数を基底関数とした基底関数の線形和で近似する.指数関数の係数パラメータをモデルパラメータと考え,パラメータ推定を通してデータ同化を行う. 本年度は,昨年度構築した近似式の性質を,Thermal Desktopを用いたシミュレーションモデルにより検証を行った.シミュレーションモデルでは,輻射の有無,周囲への熱伝達の有無,周辺環境温度の違いなどが推定精度に与える影響を検証した.推定では基底関数を1つ選択して,指数関数の係数パラメータを推定した.低自由度のモデルにおいて,いずれの条件でも良好な推定結果を得られたが,多自由度の熱モデルを用いた場合は,節点の位置によって推定精度のばらつきが生じた.多自由度の場合の対策として,過渡データを利用して熱数学モデルの係数行列を直接同定する方法を考案し,輻射の無い状態での実験で良好な推定結果を得た.また,簡易的なベンチ型の実験モデルを作成し,定常熱変形試験を行った.実験では,ベンチの足をヒーターで加熱し,ベンチの熱変形を測定した.各部の温度および熱変形の過渡データから時定数を求め,ヒーターの出力を変化させた場合の時定数の変動を評価した.時定数の変動が小さい場合は,過渡データが1つの指数関数で良好に近似されると予想される. 本研究において提案した熱数学モデルの近似式と係数行列の同定法を相補的に用いることで,より多自由度の現実的なモデルの定常温度・定常熱変形の予測モデルを構築することが可能になると期待できる.
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