2012 Fiscal Year Research-status Report
太陽風アシストによるプラズマセイル‐磁気ノズル複合推進機の性能最適化と実証実験
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24760669
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
梶村 好宏 明石工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (20403941)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 宇宙推進 / 電気推進 / 磁気ノズル / プラズマセイル / 3次元ハイブリッドモデル |
Research Abstract |
本研究は、太陽風を磁気帆で受けて超高速航行する磁気プラズマセイルと、電気推進技術である磁気ノズルスラスターを融合させた推進機を世界に先駆けて提案し、実証実験を行うことを目的とする。24年度は、性能を得る為の磁気帆形状、噴射プラズマの条件等の最適化を3次元数値解析によって行う。数値解析による最適化を行った後、各種運転条件、設計パラメータを決定し、実機モデルおよび推力スタンドを製作し、25年度に地上真空チャンバー実験を行う。実験は、相似則を適用したスケールダウンパラメータを用いて行い、直接推力スタンドによる推力測定を実施し、推進システムとしての性能を評価する。 24年度は、計画通り、磁気プラズマセイルと磁気ノズルを融合した推進システムを計算機上で再現し性能を評価した。3次元数値解析によって最適化するパラメータは、プラズマβ値、噴射位置のイオンGyro半径代表長比R、流量M、を変動値とし、推力および比推力、推力電力比の3つを最大化する最適化を行った。解析に用いるツールは、イオンの粒子効果を考慮した3次元ハイブリッドプラズマ粒子ツールである。これまでに、約100ケースの解析を実施し、上記のパラメータの最適化を実施し、噴射位置におけるプラズマβ値は7.5、噴射位置のイオンGyro半径代表長比は3とした場合が最も高い推力を得ることが分かった。 地上実験はJAXA(宇宙科学研究所)の施設を用いて実施する為、その為の施設利用の申込みや、現地の研究者との打ち合わせを複数回実施した。数値解析による最適化により、設計値が確定した後、「磁気ノズル用定常磁場コイル」、「プラズマ噴射装置」と「推力計測スタンド」について設計および製作を実施する予定であり、現在その準備を行っている。実験は、平成25年9月および平成26年1月に実施する方向で準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画書では、平成24年度に数値解析による最適化を完了し、磁気ノズル型プラズマセイルの設計パラメータを決定している予定であった。しかし、数値解析による推力最適化に時間を要したことにより、平成24年度は、パラメータの最適化までの結果を得るにとどまった。よって平成25年度に最適化パラメータを基にした「磁気ノズル用定常磁場コイル」、「プラズマ噴射装置」と「推力計測スタンド」の設計および製作がずれ込んでいる状況である。 一方、平成25年度に行う計画にしていたJAXA宇宙科学研究所での実験については、共同利用研究施設の利用申請を完了し、利用許可をいただいており、実験準備は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に得られた数値解析による最適化結果を基にして、「磁気ノズル用定常磁場コイル」、「プラズマ噴射装置」と「推力計測スタンド」の設計および製作を行う。その後、平成25年8月および平成26年1月の2回の機会を利用して、JAXA宇宙科学研究所にて真空チェンバーを利用した性能評価実験を行う。最適化パラメータに加え、数値計算結果が示した傾向が実験でも再現できるかどうかを確かめる為、複数のパラメータについて複数回の実験を行い、測定精度の向上を図る。また、いくつかのパラメータによる実験の結果は、推力測定のほかにプラズマ流の可視化、密度や温度分布の測定なども行い、数値解析モデルの精度、妥当性検証にもつなげる。最後に、実験及び数値解析結果をもとに、この推進機の性能上限を明らかにし、高比推力、長時間動作を生かすことができるミッション提案と共にその設計提案を実施し、成果として発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は最終年度であり、「磁気ノズル用定常磁場コイル」、「プラズマ噴射装置」と「推力計測スタンド」の設計および製作の為の費用として研究費を用いる。加えて、JAXA宇宙科学研究所で数日にわたって実施する実験の為、旅費および滞在費を研究費から支出する。研究成果の発表の為の国際会議および国内会議の出席に必要な参加登録費、旅費を研究費から支出する。
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