2012 Fiscal Year Research-status Report
合成開口レーダ画像および海洋観測に基づく海上風シミュレーションの精度向上
Project/Area Number |
24760679
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
竹山 優子 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 研究員 (00510025)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 洋上風力発電 / 合成開口レーダ / 数値気象モデル / 大気安定度 / 国際情報交流 / デンマーク |
Research Abstract |
本年度はまず,本研究の基礎データとなる人工衛星ENVISAT ASARデータ,数値気象モデルの初期値となるメソ客観解析データ,検証用実測観測データである平塚波浪観測塔データ,白浜気象観測塔データ,和歌山南西沖ブイデータ,平塚沖ブイデータの整備,およびこれらデータのアーカイブを実施した.特に,ENVISAT ASARデータについては計算の利便性を考慮し,グリッドを等緯度経度で揃えたデータに変換を行い,また物理量である後方散乱係数へ変換済のデータセットを用意した. 次に,24年度実施予定にしていた,合成開口レーダ(SAR)を用いた風速推定における大気安定度補正検証を実施した.SARによる海上風推定では,通常,モデル関数(GMF)を用いて海面より10m高度の風速が推定される.しかし,SARは風速を直接観測しているのではなく,海面の粗度を観測し,その物理量と10m高度の風速を経験的なGMFで対応付けている.このため,旧来のGMFでは海面粗度と直接エネルギー交換を行っている海面付近の風速と10m高度の風速の関係は一定と仮定されている.この仮定が実際の風速の鉛直プロファイルと異なる場合,推定される風速に誤差が生じる.そこで等価中立風の概念を導入している最新のGMFであるCMOD5.Nと旧来のCMOD4, CMOD_IFR2, CMOD5を用いて推定される風速の比較を行い,大気安定度の考慮による風速の変化量とその重要性について検証を行った.その結果,大気安定度の変化によって推定風速は最大で約20%変化し,CMOD5.Nが最も高精度で風速推定できることが分かった.また,CMOD5.Nから推定される等価中立風は数値気象モデル(WRF)の出力値から水温,気温,湿度データを入力値とし,モニン・オブコフ相似則を基礎としているLKBコードを用いて大気安定度を考慮した風速に変換できることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度に予定していた大気安定度の影響と最新の風速推定モデルCMOD5.Nの有効性に関する研究は予定通り実施し,当初計画は達成している.しかし,使用予定にしていたENVISAT衛星が故障により運用停止となり,新規観測データの取得が不可能となってしまった.24年度は既に取得していたENVISAT衛星を用いて実施できたが,今後,よりデータ数を増やした検証を行う為には,別の衛星データの利用を検討する必要がある.ただ,別の衛星に搭載されているSARを使用する場合,観測に用いられているマイクロ波の波長が異なるため,使用前に別途精度の検証を行う必要がある.この作業が追加されることにより,25年度の計画に若干の遅れが生じる可能性がある.
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Strategy for Future Research Activity |
既に取得済のENVISAT衛星搭載ASARに加えて,ALOS衛星搭載PALSARデータの使用を検討する.PALSARについてはGMFの開発は過去に行われた事があるが,その精度検証についてはほとんど過去に報告がない.そこで,PALSARデータによる風速推定精度検証を日本沿岸域と北海沿岸にて実施する.この精度検証によってPALSARデータの有効性が確認できれば,既に精度が明らかなASARデータとPALSARデータを用いて,25年度の計画である,沿岸域における吹送距離とSAR風速の推定誤差の関係について明らかにし,この補正手法の検討を実施する.また,合わせて数値気象モデルの精度向上に関する検討も行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者は所属する機関が保存しているPALSARデータの使用を検討している.ただし,このデータの校正精度を評価するため,同じデータを提供しているJAXAのデータとの比較を行う必要がある.当初,ASARを購入する予定であった予算はこのデータ購入に充てる予定である.また,数値気象モデルの精度向上には,その計算の初期値となる高精度なデータが必要となる.欧州の実測データとの比較を実施するにあたり,ECMWFの気象データ購入を行う予定である.運用停止となったENVISAT ASARデータの購入費はこれらPALSARデータと気象データの購入に充て,当初計画目標を達成したいと考える.消耗品胃以外には,研究成果の発信として国内外の学会への参加費及び旅費,論文投稿の費用として使用予定である.
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Research Products
(2 results)