2013 Fiscal Year Research-status Report
合成開口レーダ画像および海洋観測に基づく海上風シミュレーションの精度向上
Project/Area Number |
24760679
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
竹山 優子 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 研究員 (00510025)
|
Keywords | 洋上風力発電 / 合成開口レーダ / 数値気象モデル / 国際情報交換 / デンマーク |
Research Abstract |
本研究では、沿岸海上風シミュレーション精度の向上を目的として、SAR海上風推定精度の向上と,その成果と気象モデルの組み合わせによる高精度海上風推定手法の開発を行う. 3年計画の2年目である本年度は,24年度に整備した人工衛星ENVISAT ASARデータと和歌山白浜気象観測データ,和歌山南西沖ブイデータを用いて,白浜沖海域における年平均風速および年平均エネルギー密度の算出を行った.24年度の成果から,日本沿岸域における合成開口レーダ(SAR)を用いた風速推定では大気安定度の考慮が必要であり,大気安定度が考慮できるCMOD5.Nとモニン・オブコフ相似則を基礎としているLKBコードによる安定度補正により精度の高い風速情報が得られることが分かった.この手法を用いて,白浜沖において120シーンを超えるSAR画像のそれぞれについて2次元の風速分布図を作成し,その後,これらに対してワイブル分布を用いた統計処理を行い,海面高度10mの2次元風速分布図を作成した.この結果は,和歌山県白浜気象観測鉄塔と南西沖ブイの2か所で精度検証を実施している.次に,風速分布図から10m高度エネルギー密度分布図を作成し,沿岸域の風況を把握する基礎的な図の作成に成功した.さらに,この基礎的な10m高度の風速およびエネルギー密度分布図から,数値気象モデルWRFによって算出した風速の10m/80m比を用いて風車の平均的なハブ高度である80m高度の風速分布図とエネルギー密度分布図を作成した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予期せず,使用予定にしていたENVISA衛星が故障による運用停止となり,新たにTerraSAR-Xのデータを利用して研究を進めることとした.TerraSAR-Xの調達に時間を要しており,今年度実施予定であった沿岸域における合成開口レーダからの推定風速の過小評価要因についての調査はスケジュールに遅れが生じている.これについては,当初計画していたENVISAT衛星およびPALSAR衛星と合わせて26年度実施予定としている.
|
Strategy for Future Research Activity |
更なる沿岸域の海上風推定精度の向上を目指し,沿岸域において報告されているSARを用いた風速推定時の実測値と比較した際の過小評価傾向について明らかにする.使用するSARデータとして,これまで本研究で使用してきたENVISAT/ASARデータに加えて,るマイクロ波の波長が異なるALOS/PALSARデータおよび今年度調達予定のTerraSAR-Xデータを追加し,さらに,日本沿岸域に加えてデンマーク沿岸域にも対象海域を広げて,離岸距離(フェッチ)とSARから算出される物理量である後方散乱係数(NRCS)の関係調査を実施する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,購入予定であったENVISAT/ASARデータの運用停止に伴い,別の衛星TerraSAR-Xを購入予定である.25年度中に調達が出来なかったため,26年度始めでの調達を計画している. 上記の衛星データ以外については,解析作業に必要な消耗品の購入と,研究成果の発信として国内外の学会への参加費及び旅費,論文投稿の費用として計上している.
|