2012 Fiscal Year Research-status Report
古細菌を利用した新規ヒ素不動化バイオプロセスの開発
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24760689
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
沖部 奈緒子 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30604821)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換:英国 |
Research Abstract |
本研究で用いた好熱好酸性鉄酸化古細菌Ac. brierleyiは、1970年代に発見されて以来、As(III)酸化能について報告はなかったが、本研究によって本菌がAs(III)酸化能を有し、特にyeast extract(YE)の添加によってその効果が顕著に表れることが分かった。YE添加時、試験をした全ての初期Fe(II)濃度において、YE無添加時と同様、Ac. brierleyi は実験開始後1-2日目までにFe(II)を迅速かつ完全にFe(III)へ酸化した。ただし、YE無添加時と比べてAs(III)酸化速度は圧倒的に向上し、全ての系において2-4日目までにAs(III)は完全にAs(V)へ酸化された。[Fe(II)]ini = 500 ppmにおいては、Asの不動化量は約2 mMに留まったものの、XRDおよびRaman spectroscopyにて、スコロダイトの生成が確認された。なお、スコロダイトの生成が確認できた[As(III)]ini = 500 ppm、[Fe(II)]ini = 500 ppmの系と初期Fe(II)/As(III)比を同一としたまま各イオン濃度を2倍とした系([As(III)]ini = 1000 ppm、[Fe(II)]ini = 1000 ppm)においては、スコロダイトの結晶性はさらに向上し、不動化率の顕著な向上が見られた。As(III)を効率的に酸化し、スコロダイトとして不動化するためには、初期のFe(II)/As(III)比の設定が重要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、好熱好酸性鉄酸化古細菌Ac. brierleyiを利用することによってAs(III)を酸化、不動化することを試みた。Ac. brierleyiによる微生物学的なAs(III)酸化反応が確認され、特にyeast extractの添加によってその効果が顕著に表れた。さらに、Ac. brierleyi がFe(II)を酸化して生成したFe(III)の存在によって、Fe(III)還元-As(III)酸化カップリング反応が微生物細胞表面にて進むことが示唆された。しかしこの反応はジャロサイトの存在によって敏感に阻害される。As(III)を効率的に酸化し、スコロダイトとして不動化するためには、初期のFe(II)/As(III)比の設定が重要である。As(III)を一つの反応系で酸化し、スコロダイトとして不動化できた報告はこれまでに無く、As(III)の酸化とスコロダイトとしてのAs不動化を単一のバイオプロセスにて同時達成し得ることが本研究で初めて示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本菌のAs(III)酸化能がどのような条件下で発現するのか検討することで、そのAs(III)酸化メカニズムを解析していく。また、このような条件を最適化することにより、As(III)のスコロダイトとしての不動化効率を向上させることを今後の研究方針とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品:400000円(試薬:20000、プラスチック器具:10000、ガラス器具:10000、ガス:20000、機器分析料40000、Nano-Bandカーボン電極300000) 旅費:400000円 人件費:100000円 その他:200000円 間接経費:330000円
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