2013 Fiscal Year Annual Research Report
地中熱利用技術開発のための多孔質媒体中の水・熱輸送モデルの高度化に関する研究
Project/Area Number |
24760692
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉岡 真弓 独立行政法人産業技術総合研究所, 再生可能エネルギー研究センター, 研究員 (10575492)
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Keywords | 流体流動 / 熱輸送 / 多孔質媒体 / 地中熱利用 / 数値シミュレーション / 多相流 |
Research Abstract |
多様化する浅層の地中熱利用システムの技術開発のためには、様々な地盤の粒径に対し地下水流動やそれに伴う熱輸送の変化を表現できる数値モデルが必要である。本研究では、地盤・土壌を対象とした多孔質体中の流体流動・熱輸送について、特に、高透水性媒体を対象とした実験装置の製作および実験を実施した。また、実験結果を元にシミュレーションモデルによる数値計算を実施した。 製作した実験装置は内部に温度センサーを12個設置できる鉛直円筒カラムであり、カラム装置の下部の電子天秤により排水量変化を測定することで流量・流速を推定した。本研究では特に高透水性多孔質体を対象としているため、主に直径3mmのガラスビーズを用いて実験を行った。変水位試験の原理による絶対浸透率の測定では、約3×10^-9m^2であった。不飽和状態から温水(基準温度+20~30℃)約500mlを繰り返し注入し、温水の浸透に伴う多孔質体中および排水温度の測定と、同様の温水を連続的に滴下させる実験を実施した。その結果、注入方法の違いによりカラム内部および排水の温度変化が異なる結果が得られた。また、繰り返し注水を行う実験ではカラム内の空気挙動が影響していると考えられる排水変化を測定することができた。 また、数値モデルについてはこれまで申請者が構築した多相流の流体流動・熱輸送シミュレーション・コード(吉岡・登坂、2010)を元に計算を行った。本研究による実験結果を元にモデルの拡張を試みた。特に相対浸透率曲線については高透水性の多孔質体を対象とした曲線を得ることができ、これは多相流モデルの適用範囲を拡張するものであると考えられる。 本研究課題の1つであった固液気相熱輸送の簡易モデルの確立までは達成されなかったが、本研究による実験結果および将来的には野外実験における測定結果を元に計算条件に応じて適用できる簡易モデルの構築を行う予定である。
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