2013 Fiscal Year Research-status Report
亜臨界・超臨界流体によるアラミド繊維強化プラスチックのリサイクル技術の開発
Project/Area Number |
24760693
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡島 いづみ 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40436910)
|
Keywords | リサイクル / 亜臨界・超臨界流体 / 複合材料 |
Research Abstract |
耐震補強や補修補強材料として利用されているアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)は、熱硬化性のエポキシ樹脂と耐熱性のアラミド繊維から構成されており、エポキシ樹脂のみを分解し、アラミド繊維を回収・リサイクルする方法が未解決の課題となっている。そこで平成25年度は亜臨界・超臨界流体中でのアラミド繊維の溶媒安定性評価及び分解速度解析の速度解析を行った。昨年度の研究成果より、AFRPのマトリクス樹脂であるエポキシ樹脂分解には亜臨界・超臨界アセトンが適していることが明らかになったためここでは亜臨界・超臨界アセトン中でのアラミド繊維の溶媒安定性を検討した。320℃、10MPaの超臨界アセトンにアラミド繊維を10分間さらした結果、重量変化はほとんどなく、引張強度も変化がなかった。一方、同条件でAFRPを処理したところ、AFRP中のエポキシ樹脂は100%分解してアラミド繊維を回収することができたが、引張強度は新品の繊維に比べて50%近く低下した。そのためAFRPから引張強度低下を抑制してアラミド繊維を回収するためには、エポキシ樹脂が完全に分解できる範囲内での条件の緩和が必要なことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度はアラミド繊維の溶媒安定性に関する研究を行うことを予定していた。その中で、アミン硬化エポキシ樹脂分解条件範囲内ではアラミド繊維の劣化が見られないことを明らかにできた。その結果を踏まえ、26年度に行う予定だったAFRPリサイクル条件の最適化に先駆け、エポキシ樹脂単独で決定した分解条件においてAFRP中のエポキシ樹脂を分解し、アラミド繊維を回収すると、繊維単独で超臨界アセトンにさらした時とは異なり、繊維強度の低下が起こることを明らかにした。このことから、アラミド繊維をそのまま回収するためのAFRP の処理条件の明らかにするとした本研究の目的を遂行するために、26年度は強度低下の原因等を検討し、その原因が条件の検討のみでは避けられない場合、どのような用途ならば回収アラミド繊維を利用できるのかを考慮する必要があることを明らかにできたため、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、AFRPからのアラミド繊維回収条件の決定を行う予定である。ここでは(1)AFRPから回収したアラミド繊維の引張強度低下の原因の解明、(2)引張強度低下を極力抑えてアラミド繊維を回収するためのAFRP処理条件の最適化、(3)引張強度が低下した場合の皆朱アラミド繊維の再利用の可能性の3項目を明らかにする。
|