2012 Fiscal Year Research-status Report
反応クロマト法を用いた廃グリセリンからの生分解性可塑剤の連続合成
Project/Area Number |
24760695
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ichinoseki National College of Technology |
Principal Investigator |
福村 卓也 一関工業高等専門学校, 准教授 (50360326)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 反応クロマト / 生分解性可塑剤 / 擬似移動層 |
Research Abstract |
アセチル化グリセリドは、グリセリン骨格に酢酸残基および高級脂肪酸あるいは乳酸残基などが結合した化合物である。モデル反応原料は、当初予定していた酢酸の替わりに酢酸エチルを用い、酢酸エチルとグリセリンとのエステル交換反応により、アセチル化グリセリドへの中間生成物であるモノアセチンの選択的合成プロセスについて検討を行った。 水素型陽イオン交換樹脂として、Dowex 50WX2(50-100mesh)を用い、反応温度を50℃とした回分エステル交換化反応実験を行い、反応挙動に各種操作因子の影響について検討した。なお、生成物の濃度測定には、新規購入した紫外可視光フォトダイオード検出器 (日立ハイテクノロジーズ製L-2550)を備えたHPLCシステムを用いた。当初考えていた酢酸とグリセリンによるエステル化反応ではモノアセチンのみならずジアセチンおよびトリアセチンも副成するが、今回採用した反応系ではエステル化反応よりも反応速度が抑えられてモノアセチンが選択的に合成されているところが特長である。溶質の吸脱着過程ならびに表面反応過程を詳細に考慮したEley-Riedel型の不均一反応速度論モデルを構築して実験結果に適用して、速度パラメータと吸着パラメータを推算した。 また、擬似移動層型クロマト反応器構築に先立ち必要となるカラム型クロマト反応器の数学モデルを構築して、回分反応実験で得られたパラメータを取り入れ数値シミュレーションを行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、アセチル化グリセリドの前駆体であるモノアセチンの合成プロセスまでは平成24年度で実験と理論の両面から検討を行い、平成25年度以降の検討に道筋を立てることができた。特にカラムクロマト反応器に関する移動論数学モデルを完成させることができ、平成25年度実施予定のカラムクロマト反応実験の条件検討を理論的に行う準備を整えることができた。 アセチル化グリセリド合成のためにさらに必要となるモノアセチンあるいはグリセリンと高級脂肪酸のエステル化実験ならびに速度論解析について、平成24年度中に実施できなかったが、平成25年度中にカラムクロマト反応実験と並行して実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
高級脂肪酸とグリセリンの回分エステル化実験を行い、反応機構の詳細を検討する。その後、酢酸エチル、高級脂肪酸、グリセリンを反応原料とする複合的な反応速度論モデルを構築する。なお、高級脂肪酸で好ましい結果が得られない場合は乳酸エチルを代替物質として考えている。回分実験で得られたパラメータを用いて、カラムクロマト反応の数値シミュレーションを行い、探索した条件に基づき反応実験を行う。これらと並行して、連続クロマト反応器である擬似移動層型クロマト反応器に関する移動論数学モデルを構築して、装置設計に必要な情報を得るべく数値シミュレーションを行う。 平成25年度の研究は大きく分けて、1)回分反応実験、2)カラムクロマト反応実験、3)数値解析、4)擬似移動層クロマト反応装置の製作である。1)、2)の実験を学生2名が担当し、研究代表者が内容を統括する。3)、4)は研究代表者が進める。各種分析で学内および学外の施設(岩手県南技術研究センター)を積極的に利用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の主な購入物品は、擬似移動層クロマト反応器用の高圧力ポンプ、HPLC分析用カラム、ロータリーバルブである。また、化学工学会秋季大会(9月、岡山大学)および年会(3月、岐阜大学)に参加し、情報収集と共に学会発表を行う予定である。
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