2012 Fiscal Year Research-status Report
素線配置計測と構造力学モデルによる超電導導体の電磁力下の素線曲げ変形と座屈現象
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24760700
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
谷貝 剛 上智大学, 理工学部, 准教授 (60361127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ケーブル・イン・コンジット導体 / 電磁力 / 熱収縮応力 / 座屈 / 構造力学 |
Research Abstract |
大型マグネット用の導体として最も期待されているケーブル・イン・コンジット(CIC)導体は、現在国際協力で進められているプロジェクトであるITER計画で採用され、製造段階に入ったものもある。しかし、かつてない電磁力に晒されるこの導体では、電磁力がトリガーとなり、熱処理と運転温度差に起因する熱収縮応力によって、脆いNb3Sn線が電磁力と垂直方向に曲げられ、座屈する現象が観測された。この現象が性能劣化の主な原因とされ、核融合反応の条件実現に対する大きな問題点となっている。本研究では、電磁力によって導体が動き、SUSラップなどに接触して支持されていた熱収縮応力が解放され、素線が曲げられ座屈する現象を理論的に解明すべく、静止摩擦力の定量的な評価から構造力学を用いた数値計算によって、その発現機構を明らかにするものである。当該年度は、弾性ストリングモデルを適用して超電導素線を質点と弾性バネの連続体としてモデル化し、複雑に絡み合う初期形状からの曲げ変形の時間変化を解くシミュレーションコードを開発した(査読付き論文として発表済み)。コード開発の過程でわかった事は、素線曲げ応力の中立軸に垂直に約2mm程度動き、十分座屈する可能性がある事である。しかし、計算では1.素線が熱収縮力によって静止摩擦力を振り切ってどれくらいの距離滑るかが定量化されていないので仮定した 2.計算が2次元平面の変位だけを取り扱っている という問題が残されており、次年度はこれらを明らかにしてコードの妥当性を確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最も時間のかかる素線の曲げ変形を計算するコード開発に成功しており、残るは素線の運動方程式を3次元化する事、および、静止摩擦力を振り切って素線が動くのに必要な力を定量的に求めて、開発したコードの妥当性を確認することである。すでに実験の準備は進んでおり、研究協力者である核融合科学研究所の尾花助教と実験日程の確定も済んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験装置の設計・製作は当該年度に終わっているので、次年度は核融合科学研究所に出張して実験を行い、国際会議で結果を公表する予定である。コードの3次元化では、質点とストリングの連続体にオイラー角を導入して複雑な曲げ変形をシミュレーションできるよう、改修を行う。実験で得られる摩擦力を計算パラメータとして入力し、実際の導体で起きている現象のシミュレーションを行う。得られた結果は論文発表を行って公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は出張実験および成果発表のための旅費や、計算用ワークステーション、およびソフトウェアの増強が必須となる。特に計算時間短縮・開発効率向上に直結するGPUボードの買い増し、およびシミュレーションに用いる言語、MATLABのツールボックス増強が大きなウェイトを占める。その他は実験に必要な配線費、消耗品費、バックアップHDDや論文投稿費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)