2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760701
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
土屋 隼人 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (90509522)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ヘリカルプラズマ / ストキャスシティ / 磁気島 / ヒートパルス / 熱伝搬 / 変調ECH |
Research Abstract |
本研究はトロイダルプラズマの最外殻磁気面近傍およびその外側まで含めた磁場構造の特定することを目的としている。初年度は、最外殻磁気面近傍の電子温度揺動を測定するために、電子サイクロトロン放射計測用マルチチャンネル型ラジオメーターを核融合研究所の大型ヘリカル装置(LHD)に導入し、測定を開始した。当初計画では最外殻磁気面の外側まで測定領域まで計測する予定であったが、従来計測との連続性や予算減額分を考慮し、95GHzローカル周波数のラジオメーターのアッパーサイドバンド帯の12チャンネルを設置した。この周波数帯の電子サイクロトロン周波数は最外殻内側の温度の高い領域に相当し、自然磁気島や共鳴摂動磁場(RMP)により磁気島が生成される領域である。 平成24年度のLHD第15サイクル実験において、電子サイクロトロン加熱(ECH)のパワー変調を施す実験を提案し、共同実験を含めて実質マシンタイム1.5日の実験を行った。真空磁場構造を反映しやすいと考えられる無電流プラズマの低β放電において、ヒートパルスの径方向伝搬を測定することができ、計測器の健全性が確認できた。その際、狙い通り、m/n=1/1の自然磁気島の存在を示唆する特徴的なヒートパルスの伝搬の様子が観測された。次に周辺磁場構造を能動的に変化させるためにRMPを動的に印加したプラズマにヒートパルスを生成し、磁場計算が予測する幅広の磁気島中で高速の伝搬を測定し磁気島の存在を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にあたる平成24年度の当初計画はハードウェアの整備が主な内容である。予算減額分のため、既存設備と遊休品の有効活用を図り新規購入額を抑え、当初計画より計測領域が狭まったとはいえ、大型ヘリカル装置の15サイクル実験の冒頭から実験参加できた。第15サイクルは実験期間が例年より短いものであったが、準備がサイクル初期に間に合っていたため、電子サイクロトロン放射の強度を用意してあったアンプの調整に充てる時間もとれた。本研究課題のためにマシンタイムを要求し、変調ECHによりヒートパルスを印加する特殊条件の放電を行い、十分なデータを取得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度設置した周辺プラズマ計測用ECEを活用し実験を行うとともに、磁力線が乱れた領域(エルゴディック領域、ストキャスティック領域)の計測を行うことを計画している。計測チャンネルの新設置、もしくは計測チャンネルの配置換えを行うために、前年度に設置したラジオメーターのアッパーサイドに加えてローワーサイドバンドのマイクロ波コンポーネンツ(周波数フィルター、導波管、ディテクター等)を購入し、マルチフィルターバンクを構成し試験を行いつつ導入する。 またECE信号強度を高めるため、現状は既存のラジオメーターと新設したラジオメーターにマイクロ波を分配するためにワイヤー式のビームスプリッターを利用しているところをダイクレック式のハイパスフィルターを活用して周波数帯で分離することを計画している。これにより、電子温度が低い領域での計測のノイズ比を改善することが見込まれる。 乱れた磁力線領域では真空磁場では径方向に磁力線がつながっているため、ヒートパルスの伝搬は非常に早いことを予測しているが、乱れた磁力線領域において固有モードを持つMHDモードも観測されているため閉じた磁気面(共鳴面)も推察されている。閉じた磁気面を構成しているかストキャステック状態であるかを確かめることが次年度の目的とし、LHD実験17サイクルに実験提案を行いマシンタイムを獲得する。 今年度の新たな試みとして、ヒートパルスの応答性の悪い周辺領域での計測改善のために長時間のコンディショナルアベレージをとれるように、長時間放電にヒートパルスを印加する。これは長時間の定常放電がおこなえるLHDの特性を活かした提案になる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品購入費は主に新設したラジオメーターのアップグレードのために使用される。まず、ローワーサイドバンドのミキサー等周りにシステムを構築するマイクロ波コンポ―ンツをそろえた上で、フィルターバンクボックス等を購入する。フィルターボックスの数がチャンネル数となるが、研究費の有効活用を念頭にアッパーサイドバンドで使用したフィルターボックスを周波数フィルターを変更してアッパーサイドバンドとローワーサイドバンドをチャンネルをリアレンジする。また、必要に応じてマイクロ波伝送ケーブル、同軸ケーブル等のデータ収集系をそろえるために研究費を使う。 旅費使用として、本研究課題の成果を国内学会(プラズマ核融合学会年会、東京工業大学大岡山キャンパス、2013年12月)で発表する予定である。
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Research Products
(1 results)