2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760703
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
糟谷 直宏 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (20390635)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 磁場閉じ込め / 乱流 / トーラス / 数値診断 |
Research Abstract |
本研究はトロイダル磁場閉じ込めプラズマにおける乱流構造形成機構とその輸送への寄与の定量的理解を目的とする。乱流輸送過程の理解のためにはプラズマ中に存在する巨視的モード、メゾスケール構造、微視的乱流のダイナミクスを同時に同定することが重要で、プラズマ乱流の大域的シミュレーションから機構解明を行う。特に本研究ではヘリカルプラズマという3次元的に磁場が分布する系で、微視的乱流が自己無撞着に形成する乱流構造の様相を探るために、3次元平衡磁場配位を取り込んだジャイロ流体モデルを用いたシミュレーションを行っている。モデルの理解を深めるために円筒形プラズマにおけるイオン温度勾配不安定性モードの解析を行った。ジャイロ流体モデルを用いて、有限軌道幅効果に着目した解析を行った。局所解析からイオン種による不安定化の閾値の違いを評価した。現在巨視的モード構造を解析するコードを開発中である。3次元磁場配位の効果を評価するためにはヘリカル系の平衡磁場配位を取り入れることができる既存のMHDコードを用いることとし、計算を開始した。さらに乱流構造の役割の物理的理解を図るために、昨年度に引き続きヘリカルプラズマにおけるドリフト交換型モード乱流コードを用いて、プラズマ中心部のソースに周期的変化を加えて圧力分布の応答をみるシミュレーションを行った。中心部で加熱ソースを増減し、その繰り返しを重ね合わせることで乱雑成分を除去し、特徴的な変化が抽出できる。熱流束の径方向分布の応答を見ると、中心部での変化が拡散よりも早いタイムスケールで伝わっており、巨視的モードの熱流束への寄与や熱流束と圧力勾配の関係にヒステリシスが現れることが新たにわかった。このように本研究ではプラズマ中に存在する乱流輸送現象について、モデルの発展、3次元的効果の同定、非線形結合の定量的解析という多様な面から確実に研究を進展させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、数値シミュレーションを通じて、プラズマ中に存在する巨視的モード、メゾスケール構造、微視的乱流のダイナミクスを同時に同定することで、乱流輸送過程の理解を進展することにある。本年度は研究開始当初は3次元平衡磁場配位を取り込んだジ ャイロ流体モデルを用いたシミュレーションコードの開発を行う予定であった。しかし、大型ヘリカル型実験装置を用いた加熱変調実験で、プラズマの非局所、非線形応答が新たに明らかになり、既存のドリフト交換型モード乱流コードを用いても実験を模擬するシミュレーションを行うことで物理過程の考察が行えることがわかり、その機構を解明することが本研究目的とも合致する急務の課題であるので、昨年度に引き続き解析を行った。さらにジャイロ流体モデルや3次元磁場配位の効果についても研究を進めることができた。よって研究の2年目も順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は既存のコードを用いて、プラズマ乱流の動的応答について重要な知見を得ることができたので、その理解をさらに深めるように解析を進める。特に、熱流束と圧力勾配の関係のヒステリシスについて機構解明を行う。圧力上昇時下降時それぞれにおけるモードと熱流束の応答とその分布を同定しダイナミクスの解明を行う。さらに、本年度から取り組んでいるジャイロ流体コードの開発を進め、イオン温度勾配不安定性モードの巨視的構造を計算する。そしてジャイロ流体コードに取り込まれている有限軌道幅の効果を評価する。また、ヘリカルリップルを含む3次元磁場配位を取り込むことができるMHDコードを用いて、MHD現象の数値診断を開始する。磁場配位はVMEC平衡コードのものを用いる。3次元的なダイナミクスの同定手法を研究する。これら研究を通じて、これまで我々が開発してきた乱流計測シミュレータを発展させ、大型ヘリカル型実験装置で特徴的な乱流輸送現象を抽出する技法を研究する。そして、形成される乱流構造が実験計測でいかに観測されるか提示し、形成機構の理解を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度購入を予定していたコンピュータは別経費による支出が可能となり、そちらを使用したため、当研究費から支出する必要がなくなった。また、学務のためとりやめた国内出張があったため、予定より旅費が少なかった。これらの理由により表記の次年度使用額が生じた。 次年度は招待講演や核融合分野で最も権威のある国際学会のために海外出張を2回予定しており、その旅費として使用する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] How is turbulence intensity determined by macroscopic variables in a toroidal plasma?2013
Author(s)
S. Inagaki, T. Tokuzawa, N. Tamura, S.-I. Itoh, T. Kobayashi, K. Ida, T. Shimozuma, S. Kubo, K. Tanaka, T. Ido, A. Shimizu, H. Tsuchiya, N. Kasuya, Y. Nagayama, K. Kawahata, S. Sudo, H. Yamada, A. Fujisawa, K. Itoh and the LHD Experiment Group
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Journal Title
Nuclear Fusion
Volume: 53
Pages: 113006-1-9
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Higher Harmonics in a Perturbative Transport Experiment2013
Author(s)
S. Inagaki, S.-I. Itoh, K. Itoh, N. Kasuya, T. Kobayashi, A. Fujisawa, T. Tokuzawa, K, Ida, S. Kubo, T. Shimozuma, N. Tamura, H. Tsuchiya, Y. Nagashima, K. Kawahata, H. Yamada, A. Komori
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Journal Title
Plasma and Fusion Research
Volume: 8
Pages: 1202173-1-2
DOI
Peer Reviewed
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