2013 Fiscal Year Annual Research Report
水素イオンと炭素イオンが同時入射した被覆タングステン中の水素蓄積機構の解明
Project/Area Number |
24760710
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
福本 正勝 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 那珂核融合研究所, 研究員 (60549202)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 被覆タングステン / トリチウムリテンション / 炭素 |
Research Abstract |
本研究は、炭素イオン割合を制御した重水素・炭素混合イオンを被覆タングステンに照射し、重水素イオンと炭素イオンが同時入射する場合の水素蓄積機構を明らかにすることを目的とする。平成25年度は、炭素イオン割合に対する重水素蓄積量の変化を調べた。重水素蓄積量を次の二種類の方法で評価した。一つは、昇温脱離法 (TDS) で測定した放出スペクトル (D2, HD, CD4, CHD3) を300-1373 Kまで積分して評価した。もう一つは、二次イオン質量分析法 (SIMS) で測定した重水素の深さ分布を、分布が一定となる深さ30 umまでを積分して評価した。炭素イオンの割合が0.1 %の場合、重水素の蓄積に対する炭素イオンの影響が小さいと考え、それぞれの手法で評価した重水素の蓄積量を炭素イオンの割合が0.1 %の場合の蓄積量で規格化した。 試料温度が700 Kの場合、TDSで評価した重水素の蓄積量は、炭素イオンの割合を0.8%及び2.8%と増加させても、炭素イオンの割合が0.1%の場合と大きな変化はなかった。しかし、SIMSで評価した重水素の蓄積量は、炭素イオンの割合が0.1%の場合に比べて、17倍及び23倍に増加した。 SIMSは蓄積した重水素を直接測定するため、蓄積量を正確に評価していると考えられる。一方、TDSは4種類のガス種のみから蓄積量を評価したため、過少評価の可能性がある。しかし、SIMSとTDSで評価した蓄積量の差は、CD4やCHD3以外の炭化水素として重水素が放出た可能性を示唆している。 TDS測定後、X線光電子分光分析で被覆タングステン中の炭素の蓄積量を測定した。その結果、炭素の蓄積量は検出限界以下であった。これは、蓄積した炭素が炭化水素の形で放出されたことを示しており、更に、加熱することで、蓄積したトリチウムと炭素の両方を除去できる可能性が示唆された。
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