2013 Fiscal Year Research-status Report
拡張MHDモデルに基づくエッジローカライズモード安定化・抑制に向けた理論数値研究
Project/Area Number |
24760712
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
相羽 信行 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 六カ所核融合研究所, 研究副主幹 (20414584)
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Keywords | 磁場閉じ込め核融合 / MHD安定性 / トカマク / エッジローカライズモード / 拡張MHDモデル |
Research Abstract |
本年度は、研究計画で実施する予定であった、拡張したMHD物理モデルに基づいた小振幅エッジローカライズモード(ELM)の安定性解析を実現するための、新たな物理・数値解析モデルおよび数値コードの開発を進めた。特に、新たなモデルにおいてその影響を着目している“プラズマ圧縮性”は数値不安定性をしばしば発生することが知られていることから、この発生を完全に押さえるために“Gauss-Legendre積分を用いた混成有限要素法”を新たに開発した。この手法はすでに代表者が開発を進める数値解析コードMINERVAに実装済みであり、またその数値特性・優位性などについてまとめた論文を執筆中である。 また、小振幅ELMの発生要因を明らかにする物理解析として、欧州JET装置において重要性が指摘されている“高プラズマポロイダルベータ”、“高内部インダクタンス”、“高周辺密度”が、小振幅ELMの原因の一つと考えられる理想バルーニングモードの安定性に与える影響について数値解析を行った。その結果、前者2つはバルーニングモードを安定化する一方で、後者は大振幅ELMの原因であるピーリング・バルーニングモードを安定化することを明らかにした。特に“高周辺密度”による大振幅ELMの安定化は非常に重要であり、この安定化を保ちつつ、“高ポロイダルベータ”・“高内部インダクタンス”によってバルーニングモードの安定性もできる限り安定化することで、ペデスタル圧力の高い小振幅ELMプラズマが実現していることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、拡張したMHDモデルに基づく小振幅ELM解析のための物理モデルおよび数値解析技法の開発を主目的としており、特に数値解析技法については初期の目的を達成して開発を完了した。物理モデル開発についてもおおよそ完了しており、次年度にはコード開発に着手する予定である。 また、小振幅ELMプラズマを実現するために必要な物理パラメータの解明に向けた、これまでに開発した数値コードを用いた物理解析も併せて進めた。これにより、ITERプラズマに近い形状を持つ欧州JET装置において小振幅ELMを実現する上で重要とされる“高ポロイダルベータ”、“高内部インダクタンス”、“高周辺密度”がELM安定性に与える影響を明らかにした。より定量的な解析などは現在開発中の拡張MHDモデルに基づく数値解析を改めて行う必要があるが、これらのパラメータが重要となる物理を明らかにしたことは重要な成果である。 これら2つの成果はおおむね当初の研究計画に沿って得られているものであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に開発を進めた物理モデルおよび数値解析技法を用いて、“イオンおよび電子反磁性ドリフト効果”および“プラズマ圧縮性”を自己無撞着に評価可能な数値解析コードの開発を進める。当初の研究計画通り、無事に年度内にコード開発が完了した場合には、これを用いて小振幅ELMの物理における非理想効果の重要性、特に上記3つの効果を含めた場合に、実験的に小振幅ELMの発生条件とされている物理パラメータ(例えば本年度解析を行った“ポロイダルベータ”、“内部インダクタンス”、“周辺密度”や、これ以前に解析を行った“プラズマ回転“など)が周辺局在MHDモードの安定性にどのような影響を与えるかについて解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画当初には、本年度に国外の共同研究者との研究打ち合わせを行うための旅費を申請していたが、先方側の都合により延期をせざるを得なくなったため。なお、これにより生じた差額の一部は、同じく本年度に購入予定であったワークステーションの性能向上に当てることで、来年度のコード開発をより効率的に行えるようにした。 今年度は当初の計画通りに国外の共同研究者との研究打ち合わせを行う予定であるため、そのための旅費に充てる予定である。
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