2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760716
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牟田 浩明 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60362670)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 核燃料被覆管 / ジルコニウム合金 |
Research Abstract |
本研究では軽水炉被覆管材料として従来用いられてきたジルコニウム合金を、セラミックファイバーと複合化させることで大幅に強度・耐食性を高めた新規材料を作製し、もって原子力安全性の向上に資することを目的としている。複合化においては特に腐食によって生じた酸化膜中の応力状態に着目し、腐食の進行に伴うクラックの形成・応力の緩和を抑制することで、腐食速度の遷移を起こさない酸化膜の形成を試みる。 平成24年度は分散セラミック材として強度・耐食性に優れるシリコンカーバイド(SiC)に着目し、直径20-30 nmのSiC粉末および直径100 nmほどのSiCファイバーとジルコニウム粉末をボールミルで混合し、放電プラズマ焼結によってその高密度焼結体を作製した。混合割合は1-10 vol%とした。作製した試料についてヤング率、硬度、押し込みクリープ強度といった機械的特性を測定した。またオートクレーブにて300-400℃で腐食試験を行い、その後XRD測定、SEM/EDX観察によって形成された酸化膜の厚さ、応力、性状を評価した。 SiC粒子あるいはファイバーがジルコニウム母相中にほぼ均一に分散した、緻密な複合試料を作製できた。この複合試料のヤング率はほぼ変わらないものの、ビッカース硬度および押し込みクリープ強度は大幅に向上した。被覆管と燃料ペレットの機械的相互作用を考えたとき、この機械的強度の向上は望ましいものといえる。しかし複合試料の耐食性は純ジルコニウム試料よりも著しく劣化してしまい、高温水中、400℃において、わずか数日でmmレベルの酸化膜が生じた。XRDより応力解析ソフトを用いて求めた残留応力は純ジルコニウム上の酸化膜より小さく、また酸化膜中には非常に微細なクラックが数多く存在していた。耐食性の向上のためには分散材と酸化前/酸化後ジルコニウムの良好な結合が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験としては初期の予定通り、ジルコニウム-SiC粒子/ファイバー複合試料の作製に成功し、腐食試験から酸化膜中の応力評価、性状観察、機械的特性の評価まで一通り行うことができた。またセラミック分散強化の影響として、目的のひとつであった硬度と押し込みクリープ強度といった機械的性質の著しい増加も確かめることができた。しかしながら、第一の目的であった耐食性の向上はなされず、大きく低下してしまった。この目標達成のため、酸化膜性状観察の結果から得られた有用な知見をもとに、より良い分散材料の探索が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
耐食性の向上のため、計画の変更が必要である。今回の腐食試験後の観察において、酸化膜中に細かいクラックが数多く見られ、また残留応力が小さかったことから、むしろ分散させたSiCとジルコニウムの界面が腐食反応が進む起点となり、腐食後のジルコニウム酸化物とSiCとの間に機械的相互作用がなくなっているものと推測される。このため、耐食性向上にはジルコニウム金属相と強固に結合しているだけでなく、腐食後も形成されたジルコニウム酸化物との界面が強固に保たれる分散物でなければならないと考えられる。このため、平成25年度は次の実験を行う。まずマクロなサイズでジルコニウム板材と様々な分散材をはり合わせ、界面を形成させる。その後腐食試験を行い、界面近傍の酸化膜の性状を観察する。このときの界面の結合具合を応力測定などで評価し、もって適した分散材を推定することを目的とする。比較対象として、従来合金の析出物であるZr(Fe,Cr)2, Zr2(Fe,Ni), Nbを用い、本研究で着目するSiCなどのセラミック材との違いを評価する。腐食メカニズムの基礎に関わる有用な知見が得られると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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