2013 Fiscal Year Research-status Report
放射線環境下での無機吸着剤による水処理を想定した放射線影響の研究
Project/Area Number |
24760721
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
熊谷 友多 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究員 (70455294)
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Keywords | 放射線効果 / 水の放射線分解 / 固液混合物 / ゼオライト / 水素 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
本研究は放射線環境下での固体材料を用いた水処理における放射線影響を解明することを目的としている。水の放射線分解は水素や過酸化水素、酸素を生成し、放射線影響の発現と密接に関わる。プロセスの安全を確保するためには水素の制御が必要であり、材料劣化を低減するためには過酸化水素、酸素の制御が重要になる。そのために、固体材料との共存下での水の放射線分解で生じる水素や酸素、過酸化水素の挙動を詳細に研究する。 昨年度の研究からゼオライトは水素発生量が小さく、過酸化水素の蓄積を抑制する効果もあり、放射線環境下で用いる材料として優れた特性を備えていることが分かった。そこで本年度はゼオライトについて研究を行った。 まず、水-Y型ゼオライト混合物中での過酸化水素の反応について研究した。ガンマ線照射実験を行い、放射線環境下での過酸化水素の反応挙動を調べた。その結果、過酸化水素はゼオライトに吸着し、ゼオライトが吸収した放射線のエネルギーにより水分子と酸素に分解することを明らかにした。この結果からゼオライトが過酸化水素の蓄積を抑制する反応機構は吸着した過酸化水素の放射線分解であることが分かった。 さらに、水-ゼオライト混合系での数値計算用ラジオリシスモデルを考案した。考案した計算モデルを用いて、水-Y型ゼオライト混合物中での過酸化水素の分解とそれに伴う酸素の発生挙動を定量的に説明することに成功した。今回考案した計算モデルは、水の放射線分解に伴う化学影響を定量評価する手法のフレームワークとなると期待できる。 さらに、各種ゼオライトを用いてガンマ線照射実験を行い、水素発生挙動の比較を行った。ゼオライトは珪素とアルミニウムの酸化物であるが、アルミニウムの含有率が高いゼオライトで水素発生量が多くなる傾向が認められた。このような材料物性と放射線影響との関係は来年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度ゼオライトが放射線環境下での過酸化水素の蓄積を抑制し、腐食環境を緩和することを見出し、今年度はY型ゼオライトに関して、その反応機構を明らかにした。さらに、放射線誘起反応の数値計算により既に過酸化水素と酸素の挙動を定量的に説明することに成功した。当初計画では、水と固体水処理材料との混合系での水の放射線分解生成物量の定量評価式の導出が本研究の主たる目的であったが、当初計画で期待した以上に基礎的に深い理解が得られてきており、それに伴って定量評価手法の構築は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初計画で予定していた通り、ゼオライトの組成や構造、シリカとの比較を通じて、材料の特性の違いが水素や過酸化水素、酸素の挙動に与える影響について詳しく調べる。その結果を反映して反応機構についてより理解を深め、計算モデルを高度化、適用範囲を拡大し、当初計画で期待した以上の定量評価手法の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析用カラムや消耗品を販売業者の販促期間に割引価格で購入できたため。 実験器具・消耗品の購入のため使用する。
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Research Products
(5 results)