2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760725
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前山 拓哉 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 基礎科学特別研究員 (70612125)
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Keywords | ゲル線量計 / 粒子線治療 / 三次元線量分布 / LET / ナノコンポジットゲル |
Research Abstract |
ゲル線量計は線量に応じて反応する放射線感受性化合物をゲル中に均一に分散させることで固定化し、反応後の生成物の分布をMRI等で読み出すことにより三次元線量分布を測定出来るため、一次元線量計(電離箱)や二次元線量計(フィルム)に対してアドバンテージを持つ。実際、X線・γ線を用いた放射線治療で計画される三次元線量分布の検証としてゲル線量計を用いた研究が報告されている。一方、より複雑な三次元形状を形成でき、高い治療効果を有する重粒子線に対しては、既存の全てのゲル線量計の感度が放射線の線質(重粒子線の場合はイオンの電荷と速度に依存して決まる)に依存して変化するため、得られたシグナル強度から直接線量を評価することができないことが報告されている。線質を示す値として放射線がその飛跡に沿って物質に与える単位長さ当たりのエネルギーを意味するLETが広く用いられるが、既存のゲル線量計の感度は高LET領域において1/2~1/3までにも低下する。本研究では上述の問題に対してナノ材料を用いたゲル線量計の開発を進め、代表的な化学線量計の一種であるフリッケ線量計を脱気条件下でナノクレイ添加ゲルに混ぜることによって調製されるゲル線量計では線量計の感度がLETに依存しない特長を有することを見出した。この特長は固体・ゲル状の全ての線量計(シンチレータ、フィルム線量計、半導体線量計)において唯一のものであり、初めて炭素線に対する3次元物理線量分布の直接測定を可能した線量計である(特許申請済)。また、これまで100報以上の論文が報告されているナノクレイを添加していないフリッケゲル線量計では、LET依存性の問題のみならず、照射直後から一定の速度で進行する生成物の拡散が問題となっていたが、開発したゲル線量計はナノクレイの吸着能により、拡散の完全な抑制にも成功している
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的に目的としていた線量計感度がLETに依存しないゲル線量計の開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
特許の取得・追加特許の申請を終えたため、国際学会の参加、論文執筆を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果に対して、特許出願、追加特許出願を行ったため、研究成果発表、論文投稿が予定より遅れている。 国際学会での発表と論文の投稿費用に用いる。
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