2012 Fiscal Year Research-status Report
人工欠陥導入により縦磁界効果利用大容量超伝導ケーブルは実現可能か?
Project/Area Number |
24760732
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
三浦 正志 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (10402520)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 縦磁界 / REBCO超伝導線材 / 磁束ピンニング / ナノ組織制御 |
Research Abstract |
本研究では大きく以下の2つを目的に研究を行った。 目的(a): 縦磁界用人工欠陥導入REBCO線材の創製 目的(b): 人工欠陥が縦磁場中Ic及び磁束運動に及ぼす影響 目的(a)では縦磁界中のナノサイズの磁束の運動を抑制するため、次元性の異なる人工欠陥をREBCO薄膜の組織制御し導入する。目的(b)では人工欠陥が縦磁界効果、磁束の熱振動に及ぼす影響を調べるために縦磁場中Ic、磁束クリープ特性を評価し、横磁場中の特性と比較しながら縦磁界効果の理解と更なる特性向上に向けた人工欠陥導入線材の指針を得ることを目指している。 平成24年度は、特に目的(a)を達成するため、①MOD法を用いて3次元欠陥として、ナノ粒子状のBaMO3のMをZr, Sn, Nb等の異なる元素で置き換えることでサイズを制御した3次元欠陥導入線材の創製を行った。また、②BaMO3導入線材の結晶性、微細構造をX線回折法、透過型電子顕微鏡を用いて評価し、材料の違いにより同じ添加量でも密度、サイズが異なることを明らかにした。③サイズ、密度の異なるBaMO3導入線材線材の横磁界中でのIcの磁場依存性を調べることで有効な人工欠陥を明らかにした。平成24年度は、受賞1件、査読付き学術論文3件、国際学会6件、国内学会6件および米国特許取得し、国内外に研究成果を広く積極的に発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究項目として以下を掲げた。 ①MOD法を用いて水蒸気分圧、流速を変化させREBCO相の成長速度を制御し、ab面方向の1次元欠陥である刃状転位の密度を制御し、1次元欠陥導入線材の創製を行う。②MOD法を用いて2次元欠陥としてREBCOと格子定数が近く、反応しにくいCeO2やY2O3層を面状に導入し、2次元欠陥導入線材の創製を行う。③MOD法を用いて3次元欠陥として、ナノ粒子状のBaMO3のMをZr, Sn, Nb等の異なる元素で置き換えることでサイズを制御した3次元欠陥導入線材の創製を行う。④創製した線材の結晶性、微細構造をX線回折法、透過型電子顕微鏡を用いて評価する。⑤創製したそれぞれの次元性、サイズ、密度の異なる人工欠陥導入線材の縦磁界中でのIcの磁場依存性を調べることで縦磁界効果に有効な人工欠陥を明らかにする。 得られた成果を応用物理学会、低温工学・超伝導学会で発表する。 その中でも、③、④、⑤に関しては、当初の目的を達成した。また、査読付き学術論文、国際学会、国内学会と当初の計画に比べ多くの成果発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、特に目的(b)を達成するため、以下の研究項目を予定している。 ①H24年度で得られた最適な人工欠陥を複合化させ、ハイブリット人工欠陥導入線材の創製を行う。②創製した線材の結晶性、微細構造をX線回折法、透過型電子顕微鏡を用いて評価する。③ハイブリット人工欠陥導入線材の縦磁界中でのIcの磁場依存性を調べることで縦磁界効果に有効な人工欠陥を明らかにする。④作製した線材の磁束クリープ特性の磁場、温度依存性を調べることにより、縦磁界における磁束の熱振動に人工欠陥が及ぼす影響を明らかにする。⑤縦磁界中Icと磁束の熱振動との相関に関して調べ、なぜ“縦磁界効果”(無磁場Icに比べ縦磁界中Icが高いIc)を示すかを解明する。 得られた成果を応用物理学会、低温工学・超伝導学会、Material Reserch Society、International Symposium on Superconductivityで発表する。また、Appl. Phys. Lett.やAppl. Phys. Expressに投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、設備備品費として、光学顕微鏡用レンズ(Nikon LV-Nシリーズ)及び画像統合ソフトウェア(Nikon DIGITAL SIGHT用NIS-Elements)の購入を予定している。これらの備品は、創製した線材の薄膜表面における異相混在率や均一性を評価する上で重要な装置である。また、線材作製に必要なガス等を消耗品費として予定している。研究成果を社会に発信するツールとして必要な国内学会及び科学ジャーナル投稿に必要な費用をそれぞれ国内旅費、その他として計上する予定である。また、高臨界電流を用いた縦磁場下での測定のため共同利用する東北大学金属材料研究所への旅費を予定している。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] High-temperature change of the creep rate in YBa2Cu3O7- films with different pinning landscapes2012
Author(s)
N. Haberkorn, M. Miura, J. Baca, B. Maiorov,I. Usov, P. Dowden, S. R. Foltyn, T. G. Holesinger, J. O. Willis, K. R. Marken, T. Izumi, Y. Shiohara, and L. Civale
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 85
Pages: 174504
DOI
Peer Reviewed
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