2012 Fiscal Year Research-status Report
Zip3タンパク質ネットワーク解明によるシナプトネマ構造構築メカニズムの理解
Project/Area Number |
24770004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林原 加代子 大阪大学, たんぱく質研究所, 特任研究員 (00624389)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 減数分裂 / シナプトネマ複合体 / Zip3 |
Research Abstract |
本研究では,減数分裂期の完遂に必須である染色体高次構造,シナプトネマ複合体(SC)の構築メカニズムに迫るため,SC構築において中心的役割を担うと考えられるZip3周辺のタンパク質間ネットワークを明らかにすることを目的としている. 現在までに,Zip3の変異体株(H80F点変異,1-196および1-314トランケート)について表現型解析を行い,機能部位の絞り込みを進めている.これまでに,いくつかのSC構築因子がZip3のC末端領域に依存して減数分裂期染色体に局在することなど,新たな知見を得た. また,プルダウンアッセイによってZip3と相互作用するタンパク質の同定を行うために,Zip3のタグ融合型組換えタンパク質(数種類のトランケート型も含む)を調製した.Zip3はフルレングスでは可溶性発現の難しいタンパク質であるため,まずは,上述の表現型解析から他因子との相互作用部位だと推測されるZip3 C末端領域(315以降)のみの発現系を構築し,これを用いて,減数分裂期に同調培養した出芽酵母より調製した細胞抽出液からプルダウンを行なった.プルダウン産物はSDS-PAGEにより分離し,ウェスタンブロットで,減数分裂期特異的に発現する複数のタンパク質の抗体を用いて検出を行った.その結果,DNA損傷チェックポイントクランプとして知られる9-1-1複合体(Ddc1-Rad17-Mec3)など,Zip3の新規相互作用タンパク質の同定に成功した.また,質量分析器を用いたタンパク質の同定も現在進行中である.さらに,Zip3のフルレングスでの可溶性発現にも成功したため,今後はさまざまな生化学的実験にも対応できる状態である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで可溶性発現しないために生化学的手法での解析がなされてこなかったZip3について,発現系を確立し,相互作用因子の同定を進めつつある点は非常に大きな進展だと評価する.研究目的に挙げている翻訳後修飾の解析に関しては着手できていないため,今後の課題としたい.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,Zip3の相互作用因子の同定を進める.また同定したタンパク質については,各種変異体株を用いて細胞内でのZip3との相互作用関係を明らかにしたい.具体的には,Zip3の上流・下流どちらで機能するのか,Zip3を通じてどのようにSC構築に関わっているのか,さらに,E3リガーゼと推定されているZip3に依存した翻訳後修飾を受けているのか,などについて解析を進める予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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