2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24770006
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
平井 和之 杏林大学, 医学部, 講師 (70597335)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝学 / 二倍体 / 中心体 / 受精 / 単為発生 / ショウジョウバエ / ゲノム / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
未受精卵からの単為発生における核分裂の開始と2倍体化達成の機構の解明は、本研究課題において最も重要な点である。これまでに、単為生殖系統雌が産む卵の細胞質で新規合成される中心体が単為発生に重要な役割を持つことが示唆されていたが、その機能は不明であった。最終年度、これら中心体の単為発生開始期における2つの機能を明らかにした。まず、DNA複製後の雌性前核の染色体が分裂期中期から後期へ移行するために、中心体が必要であることを示唆するデータを得た。中心体を持たない有性生殖系統の卵において、紡錘体は中期で停止し、それ以降のステージは認められなかった。一方、単為発生卵では、中心体が結合した紡錘体において後期と終期が観察された。第2に、単為発生胚の2倍体化において、1つの中心体が2つの1倍体娘核を融合する働きを持つことが分かった。第1回目の核分裂で形成された2つの半数体の娘核は、一つの中心体を起点とした2方向への紡錘体によって捕らえられる。この第2回目の核分裂の終期、2つの娘核は極において融合し、2倍体核が形成される。 単為発生遺伝子の特定は、単為生殖系統の有性生殖系統への戻し交配を繰り返して複数のアイソジェニックな単為生殖ラインを確立し、分子マーカーを指標に、それらが保有する単為生殖系統由来のゲノム領域を決定する方法で行った。その結果、第2染色体左腕、右腕、第3染色体左腕に、単為発生を引き起こすために重要な染色体領域が存在することが明らかになった。 本研究において、アナナスショウジョウバエの有性生殖の進化の過程で出現した単為生殖に関して、その細胞学的および遺伝学的基盤を解析した。単為発生において見られるユニークな細胞学的現象は、有性生殖の成立を理解するための重要な手がかりとなり、また本研究成果の応用により単為生殖と有性生殖の両方が可能な有用モデル生物の作製が可能になると考えられる。
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