2012 Fiscal Year Research-status Report
低酸素条件下におけるメタン酸化細菌群集の機能と環境応答
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24770010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小島 久弥 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (70400009)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メタン酸化細菌 / 湖沼 / 水界微生物 |
Research Abstract |
メタンは強力な温室効果を持ち、地球温暖化への寄与は二酸化炭素に次ぐ大きさである。湖沼は大気への主要なメタン供給源であるが、湖沼で生成されるメタンは大気へ放出される量の数十倍以上に及び、その大半は湖沼内でメタン酸化細菌によって消費されている。そのため、湖沼に生息するメタン酸化細菌の活性は大気へのメタンの付加量に大きな影響を及ぼし、結果として大気メタン濃度とそれがもたらす温室効果にも影響する。従来の研究により、湖沼に生息するメタン酸化細菌の多くが無酸素または貧酸素環境に存在していることが明らかとなっている。低酸素環境下でのメタン酸化細菌の機能に迫るため、硝酸還元に関わる遺伝子の解析を行った。様々な環境試料から直接抽出したDNAを解析した結果、メタン酸化細菌に由来すると思われる当該遺伝子の配列を多数得ることができた。この遺伝子を有するメタン酸化細菌が環境中に広く分布することが示され、またその多様性の高さも明らかとなった。また、この遺伝子を有する新たなメタン酸化細菌の分離培養に成功した。分離された菌株は、当該遺伝子を持たないことが明らかとなっている菌に非常に近縁であった。これにより、同種内においてこの遺伝子を保持する菌株としない菌株が得られたことになり、比較解析によって遺伝子の機能を検証するための環境が整った。これと併せて、メタン酸化細菌についての知見が特に乏しい、汽水性部分循環湖における浮遊性メタン酸化細菌の垂直分布を新たに解析した。その結果、無酸素環境下においてもメタン酸化細菌が存在していることを改めて確認した。また、群集の構成については、淡水湖沼とは幾分異なっていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち、新たな培養装置を組み上げて行う実験が当初の予定ほど進展していない。その一方で、現場解析において想定以上の進展がみられたことに加え、研究上有用な新たな純粋培養株が期せずして得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画で一年目に行う予定であった、培養装置を用いた実験を進める。湖沼を対象とした現場での調査については、定量的な解析へ発展させる。新たな菌株の取得を目差した培養を続け、得られた菌株については基礎的な特徴づけを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の初年度において、培養を中心とした実験が予定通りに進行しなかったため、研究費の使用額が当初の予定額を下回った。遅れた分の培養実験は、二年度目に繰り下げて行う予定である。一年目に予定されていた実験を二年目に行うことになるため、二年間を通じて最終的に使用する研究費は当初の予定通りになるものと思われる。
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