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2013 Fiscal Year Research-status Report

島嶼の生物進化を駆動する第四のメカニズム:人工島島嶼群のクモを例として

Research Project

Project/Area Number 24770013
Research InstitutionMiyagi University of Education

Principal Investigator

林 守人  宮城教育大学, 環境教育実践研究センター, 研究員 (70625037)

Keywords国際研究者交流 / サラグモ / アシナガグモ / 島嶼生態学 / 進化生態学
Research Abstract

島嶼の生物は進化生態学の優秀なモデルであり,今日まで数多くの研究者によって綿密に調査されてきた.これらの主だった成果は海洋上に分布する島々から得られる事が多く,現在でも様々な研究が継続されている.しかし,こういった海洋島のほとんどは数万年から数十万年前といった非常に古い時代に形成されたものであり,稀に生まれる火山島もリプリケートをもたない単独の島である事が多い.従って,その後の生物進化に重要であるはずの島嶼形成直後の生物群集を,島間で統計的に分析する事は非常に困難である.そこで本研究では,島嶼の初期群集が有する特異的な形質を観測するために,英国中東部に位置する湖上の人工群島と本土域のクモ群集を用いている.クモはその機械的な動きが行動を観察する上で適しているため,特に今回の様な,個体毎の振る舞いに重きを置く研究では,材料として有用である.当人工群島は120島という豊富なリプリケートを誇り,80年前を最初とし順次形成されてきた.そして,これらの島々の中から比較的似たサイズの島を選び,分布するクモ群集の各行動形質を本土のものと比較したところ,活動レベルや分散能力に関わる形質がわずか数十年という短期間に急激な変化を見せる事が明らかになった.この傾向が進化なのか異なる行動形質を持つ複数の種が置換された事によるものなのかを明らかにする為に,種構成を統計的に分析したところ,時間的(島の形成年代)および空間的(島の位置)ファクターによる種構成の偏りは観察され無かった.従ってこの傾向は進化的ファクターによりもたらされた可能性が高い.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本プロジェクトの各工程は順調に進行している.本土集団との比較から,島嶼の初期集団における選択的形質が初年度から観測出来た事に加え,その後の各種解析が予定通り進められており,今のところ計画の軌道修正は考えていない.行動時間および分散の傾向に関わるファクターに関する解析はすでに終了しており,計画の副産物として期待されていたクモの分散能力のデータは計画段階で立てた仮説に沿っている.従って現在は,本計画で得られたデータを複数の論文にわたり発表する準備をすすめている.本計画は,実験を行っているノッティンガム大学から車で15分の人工群島と周辺の本土域をモデルとして進められており,海洋上の島々への遠征等と比べると空間的時間的にコンパクトにまとめる事が出来る.一方足しげく通った自然保護局との信頼関係が当初より強固になっている現在,生態学に明るい当保護区の自然保護官やボランティアのメンバーが作業を手伝ってくれる事もあり,力強い援軍となっている.また,去年からAttenborough自然保護センターのマネージメントミーティングにも参加している為,実験島嶼域のかく乱等が起こることの無いようモニタリング出来る点も安心である.

Strategy for Future Research Activity

上述の通り,クモの行動時間および分散能力に関する個体ごとのデータ解析はすでに終わっており,現在は予定通り論文執筆にかかっている.執筆は行動時間より単純なデータセットである分散能力に関する論文が先行しており,今後はまずこの論文を仕上げる予定である.本論文投稿後,クモの行動時間に関する論文に着手する.この二本目の論文については学術的価値が高いため,計画開始時からかなりのデータを蓄積しており,これら全てを組み込んで慎重に仕事を進める方針である.この最終年度では,計画開始からこれまで行ってきた,他大学での発表等を減らし,論文投稿と解析を終えていないデータの検証に時間を割り振る.現在これらの未解析のデータは,データの種類を選択する事により,その大まかな傾向が一目で分かるようフォーマットを作成しているところであり,今後のさらなる効率化や新規に追加していくデータのために,このデータベースを熟成していく.またラボでの実験は,これまでのような常時観察を行うのでは無く,タイムラプス等の長時間かつ自動で行動を観測できるシステムに組み替へ,時間を節約すると同時に,異なる質のデータを取得する.

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Artificial Islands Created through Industrial Activity Contribute to Environmental Education and Evolutionary Ecology2014

    • Author(s)
      Morito Hayashi and Sara Goodacre
    • Journal Title

      Research Bulletin of Environmental Education Center, Miyagi University of Education

      Volume: 16 Pages: 39-43

  • [Presentation] 帆走行動と耐水性にみる飛行グモの進化的背景2013

    • Author(s)
      林 守人
    • Organizer
      日本蜘蛛学会第45回大会
    • Place of Presentation
      高知大学(高知県南国市)
    • Year and Date
      20130824-20130825
    • Invited
  • [Presentation] Sink or Sail: Aquatic behaviour of spiders and implications for dispersal

    • Author(s)
      Morito Hayashi
    • Organizer
      Evolutionary Group Meeting, Naturalis Biodiversity Center, Leiden
    • Place of Presentation
      自然史博物館,ライデン,オランダ
    • Invited

URL: 

Published: 2015-05-28  

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