2014 Fiscal Year Annual Research Report
島嶼の生物進化を駆動する第四のメカニズム:人工島島嶼群のクモを例として
Project/Area Number |
24770013
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
林 守人 宮城教育大学, 環境教育実践研究センター, 研究員 (70625037)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / サラグモ / アシナガグモ / 島嶼生態学 / 進化生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
「島嶼において生物がいかなる進化の道筋をたどるのか」というダーウィン以来の問いは,何も島嶼の生物のみを興味の対象としているのでは無い.島嶼集団は他集団との遺伝的交流が限られた集団のモデルであり,進化生態学における優れた研究対象である.しかし,この理想のモデルにも,我々が長らく克服出来ていない弱点が存在する.一般的な海洋島の年代は数万年~数十万年という大変古いものが主であり,集団の運命に大きな影響を与えるであろう,島嶼形成直後の状態(集団・環境)を観測する事が難しい.また複数の火山島が,同じ海域において等条件で成立する事は稀であり,海洋島集団においてリプリケートをとる事は困難である.そこで本研究では,島嶼形成直後の集団において行動形質を観測する事を目的とし,英国中東部に位置する自然保護区Attenborough Nature Reserveにてクモを用いた研究を行った.当保護区内の湖は,80年前から順次形成されてきた人口島群を有し,形成直後のクモ群集を100年内外という時間スケールで観察する事が可能である.また120島に上るこれらの人口島は,その形成過程が同じである事から,豊富なリプリケートをとる事が出来る. 現在Excel上のデータは,ブランクも含め120万セルに迫る大きなデータに成長した.解析結果から,島の群集は年代が古くなるに従い,活動の度合いや分散能力が急激に減少する事が明らかになった.また,本土の群集と最も若い島嶼群集の間に大きな行動の違いが見られた事から,島嶼形成直後の群集に選択的なファクターが影響を与えている可能性を示す事に成功した.結果の一部は学会で発表されると共に,国際誌に投稿される予定である。
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