2013 Fiscal Year Research-status Report
植物の食害応答を制御する糖エリシターの受容機構の解明
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24770019
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
有村 源一郎 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (60505329)
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Keywords | エリシター / 植食者 / ダイズ / 受容体型キナーゼ |
Research Abstract |
「植物―昆虫間相互作用の分子メカニズム」の解明は、植物自身がもつ対植食者防御戦略を積極的に活用する技術のシーズとなり、次世代のダイズ生産体系を確立する上で非常に重要な研究課題である。本研究では、害虫が分泌して植物の防御応答を誘導する糖エリシター化合物と結合する植物受容体タンパク質の同定を目指している。本年度は、ヨトウガ幼虫の唾液成分(糖エリシター)と受容体タンパク質(LysM型receptor-like kinase:RLK)の相互作用をモニターするためにin vivoとin vitro系統の解析を実施した。第一に、受容体とオリゴ糖エリシターの分子間相互作用を定量的に解析するために、シロイヌナズナのキチン受容体(AtCERK1)とキチンの結合実験を「BIACOREシステム」を用いて執り行い、本システムの確立に成功した。第二に、AtCERK1の相同性の高いダイズRLK遺伝子(16クローン)を恒常的に発現させた遺伝子組換えシロイヌナズナを作出し、植物個体のヨトウガ幼虫の唾液成分に対する応答能力を評価するための準備を進めている。これらのin vitroとin vivo解析から、害虫防除に資する植物―昆虫相互作用メカニズムを紐解く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BIACOREシステムを用いた解析が予想以上に高額であったため、同システムを用いた解析は現在のところAtCERK1とキチンの相互作用に焦点をあてたモデル実験に留めている。したがって、RLKを恒常的に発現させた遺伝子組換えシロイヌナズナを用いた解析からRLK候補を選抜し、それらのRLKのBIACORE解析を実施する計画に変更した(平成26年度実施予定)。
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Strategy for Future Research Activity |
RLKを恒常的に発現させた遺伝子組換えシロイヌナズナのT2ホモラインを取得し、ヨトウガ幼虫の唾液成分および食害に対する防御応答能力(防御遺伝子の活性化、細胞膜電位の変化など)を評価する。野生株と比べ防御能力が高い組換え植物の導入RLKを対象に、BIACOREシステムを用いて、唾液成分との結合実験を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
BIACOREシステムを用いた解析を一部取りやめたため、消耗品費としての使用が特に必要で無くなったため。 BIACOREシステムを用いた解析、組換え植物の解析のための消耗品費、BioDrop超微量分光高度計の購入のための備品費に使用する予定である。
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