2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24770023
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
加藤 元海 高知大学, 教育研究部総合科学系, 講師 (60403854)
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Keywords | レジームシフト / 生態系 / 湖沼 / 一次生産 / 性転換 |
Research Abstract |
昨年度は、湖沼全体の一次生産量を見積もるための骨格となる数理モデル2種類(栄養塩環境に基づいた算出モデル、光条件に基づいた算出モデル)を構築し、主要なパラメータに関しては、自然条件下で取りうる範囲でパラメータ値を変化させ、両モデルの予測値を比較していた。 本年度は、より詳細に両モデルの比較を行なうため、モデルに使われる全てのパラメータに関して、野外調査や文献調査をとおして、自然条件下で変化しうる最小値と最大値を決定した。全てのパラメータに関して、それぞれ1つのパラメータを変動させたとき、湖沼全体の一次生産量が2つのモデルでどのように変化するのかを解析した。 これらパラメータのうち、一次生産量を大きく変化させたのは、湖沼の平均水深、植物プランクトンの沈降速度、植物プランクトンの単位クロロフィル当たりの炭素含有量、植物プランクトン細胞内のリン(P)に対する炭素(C)比、動物プランクトンの植物プランクトンに対する摂食率、植物プランクトンの最大光合成速度、湖沼に差し込む光強度、水中における光の減衰率、昼間の時間であることが明らかになった。現在では、これらの結果を論文としてまとめているところである。 本年度は、陸域生態系における研究も行なった。日本固有種で山地に生息するウリハダカエデは、性転換することが知られており、同じ個体でも年によって性が変化することがある。また、年によっては何個体も性転換を行なう場合もあることが知られている。鳥取県の大山にて、ウリハダカエデの研究者と共同で、どのような条件が他個体の性転換を同時に引き起こす要因になっているのかを調べるための野外調査を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、パラメータの変動に対するモデル予測値の反応は、主要なものだけで十分と考えていたが、2つのモデル(栄養塩モデルと光モデル)を詳細に比較し、すり合わせ、より高次である生態系モデルの基盤となるべく補正可能なモデルにするためには、モデルで使われる全てのパラメータについて変動させ、予測値の反応を調べる必要があると考えた。そのため、各パラメータの自然条件下で変動しうる範囲(最小値と最大値)と標準値(デフォルト地)を推定するに時間を費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、全てのパラメータ値を変動させて、モデルから予測される一次生産量の反応を解析できたことから、次年度中に論文化して投稿する。 ウリハダカエデの性転換に関しても、野外調査を引き続き行い、大規模に性転換が起こる要員の解明を目指す。
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