2014 Fiscal Year Research-status Report
単独性寄生バチを用いた血縁選択理論の解明:母親間の血縁と極端な雌偏向性比の関係
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24770029
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
安部 淳 神奈川大学, 理学部, 助教 (70570076)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 性比調節 / 適応度 / 進化 / 寄生バチ / Melittobia australica / 雄間闘争 / 遺伝構造 / 血縁度 |
Outline of Annual Research Achievements |
寄生バチMelittobiaは、既存理論の予測に反し、いかなる状況においても極端な雌偏向性比を示す。必要以上に雌を多く産む行動は、進化生物学的には協力的な行動と解釈される。本研究の目的は、Melittobiaが協力的な性比を示す要因を、主に野外における集団構造の影響から明らかにすることである。 当該年度は、室内実験により、寄主探索行動における他の探索個体の影響を明らかにした。その結果、一般的に寄生バチは他個体が寄生している寄主を避けるのに対し、Melittobiaの雌は、むしろ他個体が寄生している寄主を選んで、新たに寄生することが明らかとなった。寄主の種類によっては他個体と一緒に寄生するほうが、寄生効率が上がることが確認され、このことが一緒に寄生することの理由の一部と解釈された。しかし、別の種類の寄主では、一般的な寄生バチの場合と同様に、他個体と一緒に寄生すると、雌親1頭あたりの子の数は減少することが確認され、寄生効率だけでは完全に説明できない。今後は、寄主の発見効率など他の要因も検討する必要がある。 このようなMelittobiaの寄主探索行動は、雌親どうしにおける何らかの協力的な効果を示唆しており、本属で見られる極端な雌偏向性比に影響している可能性が考えられる。今年度は、野外における集団構造解析も組み合わせることにより、Melittobiaの分散行動、さらには性比調節の進化を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に明らかになったMelittobiaの寄主探索行動は、当初の予定では計画していなかったものである。今回得られた室内実験の結果を今後行う野外の集団遺伝構造解析に組み合わせれば、さらなる研究の進展が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に神奈川大学に次世代シーケンサーが導入されたため、これを用いて集団遺伝解析に必要なプライマーの開発を行い、それを用いて順次、解析をすすめる。
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Causes of Carryover |
ちょうど「0」にするのが、困難であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
慎重に使用する。
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Research Products
(7 results)