2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物の栄養素シグナリングと代謝ネットワークの統合的解析
Project/Area Number |
24770035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 長緒 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50609724)
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Keywords | 環境ストレス適応 / 栄養素代謝 / プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究では「植物の栄養素シグナリングと代謝ネットワークの統合的解析」を目指し,炭素/窒素栄養バランス(C/N)に応じた1)定量的リン酸化プロテオーム解析,2) メタボローム解析,3) C/N代謝酵素群の活性プロファイルの3研究課題を実施した。 その成果の1つとして,これまでに申請者らが解析を進めてきたC/N応答制御因子ATL31のリン酸化が検出された。さらに,詳細な生化学的・遺伝学的解析の結果,そのリン酸化がユビキチン化標的因子14-3-3タンパク質との結合に重要であり,植物の発芽後成長を制御することが明らかとなった。また,新規のC/N応答鍵因子として転写因子FBH4が単離された。FBH4は花成制御および気孔の開閉に重要な転写因子として近年注目されている。FBH4過剰発現株を用いた解析から,FBH4のC/N応答への関与が確認された。今後FBH4の標的遺伝子群を単離することで,C/N応答性の転写制御ネットワークの詳細を明らかになることが期待される。 さらに,上記1)-3)の全て解析でその重要性が示唆された代謝酵素SPSにも着目し,C/N応答における機能に解析を進めた。C/Nストレス環境下では,SPSの特定のセリン残基のリン酸化修飾が低下し,それと同時に14-3-3との結合性が低下することが示された。またメタボローム解析から,C/Nストレス時にはスクロースの蓄積量が増加することも示されており,SPSの翻訳後制御による酵素活性制御が,植物の代謝および成長制御に重要である可能性が示唆された。 今後は上記の転写および代謝の鍵因子に関する解析を発展させることで,C/N応答におけるシグナル伝達・代謝制御の統合的理解につながることが期待される。
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Research Products
(11 results)