2013 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚学習系ライブイメージングによる記憶形成を支える神経回路の同定と解明
Project/Area Number |
24770066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣井 誠 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (80597831)
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Keywords | 神経生物学 / 記憶・学習 / ショウジョウバエ / Caイメージング |
Research Abstract |
学習・記憶のメカニズムの理解にはどの神経細胞が記憶の形成・維持・読み出しに関わるかを知ることが不可欠である。本研究では学習が行われている最中の個体の脳の神経活動をライブでモニタし、記憶細胞を同定することを目的とし以下の成果をあげた。 (1)嗅覚記憶中枢でのライブCaイメージングを細胞レベルで解析する系を確立 これまで学習初期フェーズにおこる神経活動変化として、キノコ体垂直出力部(α/α' lobe)での条件刺激に対するCa応答上昇が挙げられていたが細胞レベルでの変化は不明であった。本研究では、画像安定化、神経興奮部の分画化を改良し、約1400細胞からの軸索繊維が集まっている部分で細胞レベルに近づいた観察が可能となった。キノコ体出力部での様々な匂いに対する脳内表現を計測し、主成分分析を行ったところ、キノコ体垂直出力部において、第1主成分に匂い全般的な神経活性の強さ、第2主成分で匂いの種類が分けられることを見出した。この事から、これら2つの情報が別々の細胞群の活動にコードされていることを示唆する。 (2)顕微鏡下での匂い嫌悪学習誘導電気ショックによる学習前後での匂い応答を比較したところ、新たに発火する部位と発火しなくなる部位が共に観察された。これは学習によって新規の神経細胞が発火するという単純なモデルではないことが示唆された。出力部全体のCa応答平均を計算すると条件刺激/無条件刺激の応答比が最大1割上昇しており、先行研究に示されたように嫌悪学習は誘導できていると考えられる。各分画のCa2+応答を主成分分析を用いて解析したところ、条件刺激特異的に変化する特徴が観察された。電気ショックのみでの刺激ではこの変化は起きないことから、学習特異的な神経発火変化をとらえていることが示唆される。確立された細胞レベルイメージングを学習後から24時間ほど行うことで、短期~長期記憶の遷移が細胞レベルで明らかにできると期待している。
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Research Products
(3 results)