2013 Fiscal Year Research-status Report
D-アミノ酸とその代謝酵素アミノ酸ラセマーゼの動物界における分布と機能
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24770068
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
宇田 幸司 高知大学, 教育研究部自然科学系, 講師 (10448392)
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Keywords | D-アミノ酸 / アミノ酸ラセマーゼ |
Research Abstract |
アミノ酸には,L体とD体の二種類の鏡像異性体が存在しているが,動物の生体内にはL体のアミノ酸のみ存在し,D体のアミノ酸(D-アミノ酸)は生体内には存在しない非生体型のアミノ酸であると考えられてきた。しかし,1980年代以降,光学分割技術の発達により,動物の生体内にも遊離のD-アミノ酸が存在することが明らかになり,その存在と,生理的な役割の解明に多くの研究者が取り組むようになった。特に,軟体動物や節足動物では遊離のD-アラニンやD-アスパラギン酸が浸透圧調整物質等として機能し,哺乳類では遊離D-セリンやD-アスパラギン酸が神経伝達に関与する事が報告されている。さらに,これらの遊離D-アミノ酸は対応するL-アミノ酸から異性化酵素(アミノ酸ラセマーゼ)により生合成されることも明らかとなり,アラニンラセマーゼが軟体,節足動物から,アスパラギン酸ラセマーゼが軟体,節足,脊椎動物から,セリンラセマーゼが節足,脊椎動物から報告されている。しかしながら,これまでのD-アミノ酸及びその代謝酵素に関する研究は一部の動物種についてのみ行われ,動物界全体における広範囲な解析は行われいないのが現状である。 本研究では様々な動物からD-アミノ酸及びその合成酵素であるアミノ酸ラセマーゼ遺伝子の単離を試み,D-アミノ酸及びアミノ酸ラセマーゼの動物界における分布とその機能を明らかにすることを目的とした。 本年度は昨年度に単離したアミノ酸ラセマーゼ遺伝子十数種類について,その遺伝子を発現ベクターに組み込み,リコンビナント酵素発現系の構築を行った。さらに,リコンビナント酵素の発現と精製によって得られた酵素について,その詳細な酵素活性の測定を行い,酵素機能の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,様々な動物から単離されたアミノ酸ラセマーゼホモログ遺伝子のリコンビナント酵素の発現系の構築と,リコンビナント酵素の発現精製が完了した。 また,発現タンパク質を用いた酵素活性の測定と,酵素機能解析についても順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,これまでに単離されたアミノ酸ラセマーゼホモログのリコンビナント酵素を用いた酵素機能解析をさらに進める。特に強い活性を示した酵素については,その反応機構の解明も進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に,幾つかのアミノ酸ラセマーゼのアミノ酸置換変異体の作成と,酵素活性測定を予定していた。しかし,今年度に新たに幾つかのアミノ酸ラセマーゼ遺伝子を単離したので,変異体酵素の作成は,単離したすべてのアミノ酸ラセマーゼの野生型酵素の酵素活性測定が終了するまで延期することとした。そのため,変異体酵素の作成用の費用を次年度に使用することになった。 繰り越した予算は,当初の予定通り,アミノ酸ラセマーゼのアミノ酸置換変異体の作成及び酵素活性測定に使用する。
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Research Products
(7 results)