2013 Fiscal Year Research-status Report
核ゲノムデータを用いた条鰭類の系統解析に向けて:相同遺伝子選定パイプラインの構築
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24770070
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
井上 潤 沖縄科学技術大学院大学, 数理生物学ユニット, 研究員 (10596779)
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Keywords | 全ゲノム重複 / 真骨類 / 分子系統 |
Research Abstract |
本研究の目的は,データベースに公開されている条鰭類数種のゲノムデータから,条鰭類の高次系統解析に有用な相同遺伝子を選定する解析パイプラインを構築する点にある.さらなる到達点として,魚類系統の解明に不可欠な条鰭類下位群数種のトランスクリプトーム (全 mRNA) データを解読すること,そして,作成したパイプラインを用いて作成したデータベースと新たに得られたゲノムデータから有用な遺伝子を選抜して,下位条鰭類の時間軸付き系統樹を推定する,という点を上げている.交付申請書であげた研究計画案は,平成 25 および 26 年度の研究計画として,1. 相同遺伝子選定パイプラインの完成,2. トランスクリプトームデータ解読,3. 系統解析とデータの配信,であった. 1. 相同遺伝子選定パイプラインの完成: 解析パイプラインで得られたデータを解析することで,パイプラインをより強化してほぼ完成させた. 2. トランスクリプトームデータ解読: アロワナのトランスクリプトーム解読を行った.上記データベースで整理された魚類 6 種のアライメントデータと比較したところ,最先端の機器とされる Illumina 社 MiSeq であっても得られたデータは予想以上に精度が悪かった. 3. 系統解析とデータの配信: 上記の理由より,本申請課題の最終目標である,トランスクリプトームデータを用いた下位条鰭類主要系統間の分子分析はまだ行っていない.一方で,データベース作成によって新たに浮上した研究課題である,「真骨魚類ゲノム進化の解明」に必要な解析をほぼ終えた.現在,この研究テーマに関する論文の執筆を進行中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 相同遺伝子選定パイプラインの完成: 目的をほぼ達成した.「研究実績の概要」にもあげたように,解析パイプラインから得られたデータベースを解析することで問題点を明らかにし,これを解決することで解析パイプラインを完成させた. 2. トランスクリプトームデータ解読: 達成度は低い.「研究実績の概要」で示した理由により,データ解読を保留した.本年度は,トランスクリプトーム解読に必要な total RNA を,対象とする魚類集種から抽出するにとどめた. 3. 系統解析とデータの配信: 系統解析については,2 のデータが出そろった時点で行う.そのための準備となる解析パイプラインと解析環境のセットアップを行っている.真骨類ゲノム進化解析で用いたデータの配信準備は完了している.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 相同遺伝子選定パイプラインの完成: 申請書作成当初の目的であったパイプラインは既に完成しており,後は論文の発表を待って公開するだけである.このため,今後は国際データバンクに新たに登録された種をデータに加える一方で,2. のトランスクリプトームデータ解読で得られたデータを加えて,パイプラインをさらに強化する可能性を検討中である. 2. トランスクリプトームデータ解読: 所属する研究機関で新型シーケンサーが設置され次第,一気に解読を終了させる.あるいは,新型シーケンサーの利用が外注で可能であれば,それも視野に入れたデータ収集を行う. 3. 系統解析とデータの配信: 真骨類ゲノム進化解析のデータを配信する準備は完了している.系統解析については,データがそろい次第,系統解析を行う環境がほぼ整っている.解析が終了次第,系統解析用のデータ配信を準備する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初本年度に行うはずであったトランスクリプトーム解析を,次年度以降に行う計画に変更したため. チョウザメ類やアロワナ類,ウナギ類などのトランスクリプトームデータ解読を行う.これに伴う消耗品代金として予算を使う計画である.昨年度は 1 種について約 20 万円のランニングコスト (以下) であったが,今年度はコストダウンが予想される.使用可能な予算に合わせて,アロワナ類を中心とした古代魚数種のトランスクリプトームデータ解読を行ってゆく予定である. - Truseq RNA Sample Prep Kit v2-Set A: 7,500 - Miseq Reagent Kit v2 (500 cycle): 144,000 - SuperScript II RNase H-Reverse 10000U: 39,000 - total 190,500
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Research Products
(2 results)