2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24770075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸田 拓士 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (40527892)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / アメリカ合衆国 / ヒゲクジラ / ゲノム / 嗅球 |
Research Abstract |
アラスカ州の先住民捕鯨によって捕獲されたホッキョククジラから、許可を得て嗅覚器官および嗅球を摘出した。嗅球はパラフィン包埋後に切片を作成して、複数の抗体を用いて免疫染色を行った。嗅覚器官からはRNAを抽出し、cDNAに逆転写した上で日本に持ち帰った。 日本では、食肉市場にて屠殺されたウシの嗅球を許可を得て採集し、パラフィンに包埋して切片を作成したのち、上記のクジラに用いたものと同じ抗体で免疫染色を行った。クジラとウシの嗅球の形状は大きく異なっており、遺伝子の発現パターンもそれぞれに違うことが確認された。特に、先天的な忌避反応を示すことが先行研究によって示唆されている領域がクジラでは失われており、こうした領域は海洋環境では不要なことを強く示唆している。 ホッキョククジラと同じヒゲクジラ亜目に属すミンククジラの生肉を鮮魚店にて購入し、DNAを抽出した。抽出したDNAは断片化してライブラリを作成し、Illumina社のHiSeq2000で網羅的な解読を行った。得られたデータは現在De Novoアセンブル解析を行っている。ヒゲクジラ類は鯨類の進化を考える上で系統学的にも形態学的にも非常に重要な存在であるが、そのゲノムは未だに報告されていない。本研究によってヒゲクジラのゲノムが初めて報告されることが期待されており、こうして得られたデータによって、数多い嗅覚関連遺伝子のうちヒゲクジラも保持している遺伝子、ヒゲクジラでは失われた遺伝子を網羅的に解明することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初は、ヒゲクジラの全ゲノムを読むことは技術面で不安が多く、考えていなかった。だが多くの同僚らの協力を得てゲノムの解読が可能となったため、解読を完了することができた。得られたデータは現在解析中であるが、当初予定していた以上に成果があげられるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
解読したミンククジラのDeNovoアセンブルを進めると同時に、研究計画に記載した他の計画も予定通りに進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度余剰となった費用は顕微鏡写真撮影用の機材に使用する。
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Research Products
(6 results)