2014 Fiscal Year Annual Research Report
カレイ目魚類のミトコンドリアゲノミクス:高次系統解析とゲノム構造の進化
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24770082
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 崇 独立行政法人国立科学博物館, 標本資料センター, 特定非常勤研究員 (60436516)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カレイ目 / ミトコンドリアゲノム / 分子系統 / 分子進化 / 遺伝子配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年計画の最終年度にあたる2014年度は,年度前半にウシノシタ上科(ササウシノシタ科,ウシノシタ科,カワラガレイ科,ベロガレイ科,アキルス科など)を中心に,収集した試料からのミトコンドリア(mt)ゲノム全長塩基配列データの決定や科内の系統解析を行なった.また年度後半には,カレイ目魚類の包括的系統解析のまとめとして,得られた全データセットをもちいた系統解析ならびに遺伝子配置の解析を行なった. 最終的に,既知のカレイ目14科134属約670種中のほぼ全科と半数以上の属,そして15%の種数をカバーする13科72属100種の新規データを決定した.これに外群やデータベースへの既登録データ(部分配列も含む)を加え,総計180種を網羅する系統樹を構築することができた.その結果,未だ議論百出であるカレイ目の単系統性は弱いながらも支持され,過去の研究例でも指摘されているようにボウズガレイ科が最もbasalなグループとなった.現行の分類体系に即した目内の全2亜目ならびに3上科の単系統性も支持された.またヒラメ科は2つに大きく分かれる非単系統群であり,カレイ科と姉妹群を形成し,主に北方の寒冷な海域に分布するグループ,そしてダルマガレイ科と姉妹群を形成し,大西洋西岸を中心とする温暖な海域に分布するグループを明瞭に示すことができた.さらに系統関係が不明瞭であったカレイ科,ダルマガレイ科,ササウシノシタ科などについては,科内を網羅するデータを基に確固たる系統樹を示すことができた.本研究で扱ったカレイ目魚類には,これまでダルマガレイ科で発見したもの以外に3科で3パターンの遺伝子配置変動が発見された.目内で見つかった全ての配置変動は,それぞれの科もしくは属に分化する際に生じたものと考えられ,単系統性を支持するマーカーとなることが判明した.
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Research Products
(5 results)