2014 Fiscal Year Annual Research Report
ママコナ属における花筒長の多様化と送粉者を介した生態的種分化過程の解明
| Project/Area Number |
24770085
|
|---|
| Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
|---|
Principal Investigator |
長谷川 匡弘 大阪市立自然史博物館, その他部局等, 研究員 (80610542)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
| Keywords | ポリネーターシフト / 送粉 / 花形態 / 進化 / ポリネーター / ママコナ属 / スズメガ媒 / ハナバチ媒 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はオオママコナ及びヤクシマママコナのポリネーター補足調査、オオママコナ及び近縁種のシコクママコナ生育地において訪花昆虫相の調査を実施した。また、平成27年3月に開催された日本生態学会において調査結果を公表した。
本研究では特徴的な花筒を持つオオママコナ（長花筒）、ヤクシマママコナ（短花筒）の送粉生態や花形態の変異等の基礎的情報の調査を行い、ＤＮＡ解析によってこれら局地的分布種の分化過程を明らかにすることを目的とした。
1)長花筒を持つ、オオママコナが分布する紀伊半島南部周辺におけるママコナ属の分布状況については、国内の主要なハーバリウムにおいて標本調査を行い、オオママコナの分布が紀伊半島南部に限られること、近接してシコクママコナが分布していることを明らかにした。2) ママコナ属の花形態計測は、ママコナ属全種において実施し、オオママコナが他種より顕著に長い花筒を有していることを明らかにした。また、タカネママコナのいくつかの集団、ヤクシマママコナに関しては、他分類群よりも花筒が顕著に短くなる。3)長花筒、短花筒のママコナに関わるポリネーターを3年にわたり調査した。結果として、オオママコナの主要な訪花者がホシホウジャクであり、口吻長、花筒長の関係よりポリネーターとして機能していることが明らかとなった。ヤクシマについては観察時間が十分ではないが、ハナアブ類がポリネーターとして機能している可能性がある。系統解析や各集団での花筒長にかかる淘汰圧の測定は十分に実施できていないが、長花筒のオオママコナはシコクママコナから派生したと考えられる結果が得られている。
これらの調査結果より、有効なポリネーターの少ない紀伊半島南端部において、盗蜜者であったホウジャク類に適応することでオオママコナがシコクママコナより分化したものと考えられる。
|
