2013 Fiscal Year Research-status Report
超寄生性生物カクレヤドリムシ類の起源と進化に関する研究
Project/Area Number |
24770086
|
Research Institution | Kitakyushu Museum of Natural History and Human History |
Principal Investigator |
下村 通誉 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (30359476)
|
Keywords | 超寄生 / 等脚類 / 寄生生物 |
Research Abstract |
本研究課題は自然界で寄生生物への寄生、つまり超寄生という特殊な生態の生物がいかにして出現したのかを明らかにすること、そして特殊性の解明を通じて、寄生生物の宿主選択の際に起こる適応的進化のプロセスについて一般的考察を与えるというものである。具体的な目的は甲殻類に寄生する甲殻類に寄生する超寄生性の等脚目甲殻類カクレヤドリムシ類を用いて系統仮説を提出し、どのような群から出現してきたのかその起源を明らかにし、進化の過程で起こった宿主選択と形態変化のパターンについて明らかにすることである。 本年度は本研究の4つの段階の内、標本調査と採集調査を引き続き重点的に行った。これまでに収集してきた調査船による採集物について、超寄生性等脚類の探索を行った。南西諸島の沿岸ではシュノーケリング等による採集調査を行った。 以上により、多くの超寄生性甲殻類と考えられるものを得ることができた。これらについて、解剖による詳細な形態比較を行い、未記載種と考えられるものが見つかった。分類学的研究の成果の一部について現在まとめている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標本調査と採集により多くの材料を得たが、まだ当初の計画を達成するのには不十分である。分類学的研究自体は進展しているので、おおむね順調に進展しているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
採集調査については引き続き積極的に行う。具体的にはこれまでカクレヤドリムシ類の調査の行われていない日本海側の調査を広島大学練習船によって5月に行う予定である。また、国内外の臨界実験所や博物館に収蔵されている甲殻類の標本調査を行う。 系統学的研究を前年度に継続して行う他、採集した標本を形態形質に基づいて分類学的研究を行う。研究は解剖→プレパラート作成→観察→同定→記載の順で進める。実態顕微鏡下で付属肢を電解研磨で鋭く尖らせたタングステン針を用いてはずした後、スライドグラス上にガムクロラールで封入し、微分干渉顕微鏡を用いて形態観察を行う。論文作成、学会発表用に各形質を描画装置を用いてトレースを行い顕微鏡用カメラで撮影を行う。また、走査型電子顕微鏡を用いて微細構造の観察を行う。特に新分類形質の探索を行う。その結果に基づいて未記載種を記載し、既知種を再記載する。
|