2013 Fiscal Year Annual Research Report
基質非結合状態のプロトン輸送性ピロホスファターゼのX線結晶解析と作動機構の解明
Project/Area Number |
24770091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三村 久敏 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30463904)
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Keywords | 膜蛋白質 / プロトンポンプ / 高等植物 / 結晶化 / X線結晶解析 |
Research Abstract |
(1)基質非結合状態におけるH+-PPaseとFabの複合体の結晶化。計画がスタートした当初に得られていた結晶は、分子置換法による構造決定は可能であったが、得られた分解能は4.1Å程度であった。現在までに、結晶化条件とクライオ条件の検討を行なったところ、分解能は3.2Å程度まで改善された。しかしながら、水分子が見える程度の分解能を目標としており、それを目指して今後も条件検討を進める。 (2)基質非結合状態におけるH+-PPase単体の結晶化。これまでのところ、計画以前から得られていたものよりも良質の結晶を得るまでには至っていない。そのため、構造的な視点から結晶化条件に対するヒントを得るため、H+-PPaseと同じグループに属するNa+-PPaseのこれまでに報告されている基質非結合状態の結晶構造を参考にし、H+-PPaseの基質非結合状態における構造をホモロジーモデリングした。得られた構造からは、基質非結合状態では基質結合部位を覆うループが不安定な構造をとり、基質結合部位には2個の金属イオンが結合すると推測された。それらを考慮し、またNa+-PPaseの結晶化条件を参考にしつつ、今後も結晶化条件のスクリーニングを進める。一方、ホモロジーモデリングにより得られた構造を、これまでに決定された構造と比較することにより、反応サイクルの推測が可能になった。これまでには知られていない、まったく新規の基質分解と共役したイオン輸送のメカニズムの存在が明らかとなった。 (3)発現系の構築。高等植物のH+-PPaseに加え、マラリア原虫等の病原性原生動物のH+-PPaseや高熱性細菌等のNa+-PPaseをX線結晶解析の対象とするため、大量発現系の構築を目指している。重要なものを幾つか選び、遺伝子合成を行った。
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