2012 Fiscal Year Research-status Report
In-Cell NMR法を用いたVRK1キナーゼタンパク質の動的構造の解明
Project/Area Number |
24770108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小柴 生造 独立行政法人理化学研究所, NMRパイプライン高度化研究チーム, 上級研究員 (70332301)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | In-Cell NMR / 19F-NMR / 動的構造 / VRK1 |
Research Abstract |
本研究では,細胞内におけるタンパク質の動的構造を,In-Cell NMR 法と 19F-NMR 法を組み合わせて観測する技術を確立し,これまで in vitro で解析されてきた高次構造レベルでの機能メカニズムを,in vivo の環境下で解明することを目的とする.本研究の平成24年度における研究成果は以下の通りである. 1:In-Cell NMR法に必要な,培養細胞へのタンパク質の導入法を確立するため,これまで報告されている様々な細胞導入法を検討した.具体的には,各種の膜透過性ペプチドや膜傷害毒素等の導入法を用いて,HeLa細胞や293F細胞などの培養細胞に対し標識タンパク質の導入を試みた.結果,複数の方法で細胞内に高濃度にタンパク質を導入することに成功した.現在最適な導入条件を検討するため,安定同位体標識したタンパク質を導入してNMRスペクトルを測定している. 2:In-Cell NMR法に適した安定同位体標識技術を開発するため,様々な19F標識アミノ酸の検討を行った.結果,19F標識メチル基を持つアミノ酸が最適であると判断し,高感度に測定可能なトリフルオロメチル化アミノ酸を開発した.現在無細胞タンパク質合成系を用いて19F標識タンパク質の発現を検討中である.また平成24年度末に導入された19F核を高感度に測定できるクライオプローブの調整を行い,本研究の目的に必要な,各種19F観測法の開発を行った. 以上の成果は,本研究の目的である,生きた細胞内におけるVRK1タンパク質の動的構造を解析する為に必要不可欠な技術であり,本研究の目標達成に向けて大きく前進した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,細胞内におけるタンパク質の動的構造を,In-Cell NMR 法と 19F-NMR 法を組み合わせて観測する技術を確立し,これまで in vitro で解析されてきた高次構造レベルでの機能メカニズムを,in vivo の環境下で解明することを目的とする.平成24年度ではそのために必要な細胞導入法の検討および各種安定同位体標識技術の検討を行う計画であったが,いずれの分野でも一定の成果を上げることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,今後は標識したVRK1タンパク質を細胞内に導入し,細胞内におけるVKR1の機能メカニズムについてNMRを用いて明らかにする予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度における研究はおおむね順調に進んだが,各種安定同位体標識アミノ酸の開発や細胞内導入法の検討に若干時間がかかり,使用した研究費の額が当初の計画より減少した.今後は,平成24年度の予算で行う予定であった各種安定同位体標識タンパク質を次年度使用額を使用して作成するとともに,平成25年度の当初の計画通り,標識タンパク質を細胞内に導入し,リン酸化に伴うVKR1タンパク質の動的構造変化をNMRを用いて明らかにする.
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