2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24770113
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
松田 厚志 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所バイオICT研究室, 研究員 (20585723)
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Keywords | クロマチン / 高分解能顕微鏡観察 |
Research Abstract |
遺伝子発現と高次構造制御の構造的関連を明らかにするため、今年度は間期核におけるクロマチンの凝縮率を、去年度に開発した多色超分解能顕微鏡手法を用いて計測した。生物サンプルには、小さなゲノムを持ち、遺伝子発現に関する豊富な情報が利用できる分裂酵母を用いた。 ヒストン修飾により定義される様々なゲノムドメインの凝縮率を計測したところ、クロマチン構造はクローズドとオープンの二つに分けられた。クローズドは、意外にも転写活性があると考えられているユークロマチン領域から構成されていた。一方、オープンは、ユークロマチンの中でも現在転写されている領域から構成されていた。このことから、ユークロマチンは一様にオープンではなく、転写されている領域だけが脱凝縮してオープンになり、それ以外は比較的凝縮していることが明らかになった。オープンな領域には意外にも、ヘテロクロマチンと定義されてきたサイレンシング領域が含まれており、この生物では、サイレンシング領域は脱凝縮していることが示された。 さらに、サブテロメアのサイレンシング領域は、高度に凝縮した領域が隣接していることが分かった。この凝縮クロマチン体は記載が無かったため、「ノブ」と名付けた。ノブは、ほとんどのヒストン修飾抗体で染色されなかった。ヒストン修飾の少ない領域を、利用可能な全ゲノムChIPデータと見比べたところ、サブテロメア内側の50kb程度に、これまでユークロマチンと考えられていたが、ヒストン修飾が少ない領域が存在することが分かった。lacOアレイを挿入して、この領域がノブであることを確認した。ノブ形成に必要な遺伝子を調査したところ、サイレンシングに必須の遺伝子であるHP1ホモログのswi6などを欠損しても凝縮に変化がなかった。したがってノブは、既知のクロマチン凝縮とは全く異なる新規の遺伝的経路により、間期にクロマチン凝縮を起こすと考えられる。
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[Presentation] 高分解能顕微鏡2013
Author(s)
松田厚志
Organizer
第21回細胞生物学ワークショップ
Place of Presentation
未来ICT研究所、神戸市
Year and Date
20130808-20130808
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