2012 Fiscal Year Research-status Report
新規小胞体膜複合体によるG蛋白質の活性調節を介した巨大分子分泌機構の解明
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24770119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 康太 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60549632)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コラーゲン / 分泌 / 小胞体 / COPII / 低分子量Gタンパク質 |
Research Abstract |
細胞内で合成されるタンパク質のおよそ3割は小胞体で合成されると考えられている。これらのうち細胞内の各オルガネラや細胞外へ運ばれるタンパク質は、合成後、小胞体上の特定のドメインであるER exit siteよりCOPII被覆小胞に積み込まれることによって小胞体を出芽する。コラーゲン分子やキロミクロンなどはその形成する複合体が非常に巨大であり、通常のCOPII被覆小胞には入りきれないことから、その輸送メカニズムは注目されてきた。しかしながら、その詳細は不明であった。 研究代表者は、先にVII型コラーゲンの小胞体からの出芽に特異的に関与する積み荷受容体としてcTAGE5/TANGO1複合体をER exit site上に同定した。さらに、マススペクトロメトリーを用いた解析から、低分子量Gタンパク質Sar1のグアニンヌクレオチド交換因子であるSec12が特異的にcTAGE5と結合することを見出し、この結合が直接的であること、また相同性を有するTANGO1はSec12と結合しないことを明らかにした。 本年度はcTAGE5、sec12、それぞれの細胞内局在に着目し、両者の結合の意義について検討した。 まず内在性Sec12を検出する抗体を作製し、Sec12の細胞内局在を調べたところ、ER exit siteマーカーであるSec31や、cTAGE5と共局在したことからSec12もER exit siteに局在化することが明らかとなった。次に、cTAGE5をノックダウンした細胞においてSec12の局在を調べたところ、ER exit siteから小胞体全体に局在が変化する様子が観察された。よってcTAGE5はSec12の局在をER exit siteに保つために必須である可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、低分子量Gタンパク質の活性調節を介した巨大分子の分泌機構を解明することを目的としている。本年度は、低分子量Gタンパク質Sar1の活性化因子であるSec12のER exit siteへの局在をcTAGE5が規定している可能性を新たに示すことができた。このことは、活性化因子の局在を制御することにより、低分子量Gタンパク質の活性の調節が行なわれることで巨大分子の分泌が担われるというモデルを提示しており今後の解析が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに、巨大分子分泌に低分子量Gタンパク質であるSar1とその活性化因子であるSec12が密接に関与することが明らかとなった。今後は、巨大分子であるコラーゲンの輸送にcTAGE5とSec12の結合およびその局在制御が必要であるかを解明していくことにより、より詳細に低分子量Gタンパク質の活性化と巨大分子分泌の関係を解析していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後とも、主に培養細胞を用いた研究を行なうために、ノックダウン用のRNA,トランスフェクション試薬、血清をはじめとした消耗品が必要となると考えられる。また、学会発表を通じ、本研究の成果の発表を行なう為の旅費、さらには論文発表用にそれぞれ研究費が必要となると考えられる。
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Research Products
(4 results)