2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24770121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 亮 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10445025)
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Keywords | ヘム / 出芽酵母 |
Research Abstract |
本研究では、真核生物におけるヘムの細胞内輸送メカニズムの理解を目指し、ヘムの輸送に関与する因子の同定と機能の解明を進めてきた。 平成24年度は、出芽酵母を用いてヘム輸送経路に異常のある変異株のスクリーニングを行った。紫外線照射により作製した変異出芽酵母ライブラリーより、ヘムの合成は正常に行われるが、ヘム結合によって活性化する核内の転写因子Hap1が活性化しない、ヘム輸送経路に異常のある可能性が示唆される変異株xを取得した。変異株xはミトコンドリア内で合成されたヘムは利用できないが、細胞外に添加したヘムは利用できたため、ミトコンドリアで合成されたヘムを細胞質に排出する機能が低下していると考えられた。変異株の責任遺伝子Xは核に局在する転写調節因子であり、ヘム輸送関連因子が標的遺伝子に含まれる可能性が予想された。 平成25年度は、変異株xにおいてヘム輸送関連因子の発現が低下していることが予想されたため、マイクロアレイ解析を実施し、変異株xにおいて発現低下が見られる遺伝子を探索した。変異株xにおける遺伝子発現が、野生株に対して50%以下に低下する63遺伝子を同定した。変異株xにおいてはミトコンドリアで合成されたヘムを細胞質に排出する機能が低下していると考えられたため、これら63遺伝子のうちミトコンドリア膜に局在するタンパク質に焦点を絞り解析を進めることとした。一方、変異株xにおいては、344遺伝子の発現が野生株に比して200%以上に増強されていることが明らかとなった。変異株xにおいて発現の上昇、低下が見られる遺伝子群には、呼吸やミトコンドリアの関与する糖、脂質を始め様々な低分子の代謝に関連する因子が多く含まれており、Xの遺伝子産物はヘム輸送のみならず、ミトコンドリアの代謝の制御に関わる転写調節因子である可能性が示唆された。
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