2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24770124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石川 春人 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40551338)
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Keywords | 金属タンパク質 / ヘム / 酵素 / マラリア |
Research Abstract |
マラリア原虫は宿主の赤血球内で増殖する際に、ヘモグロビンを分解し栄養分として利用している。この際にヘモグロビンの活性中 心であるヘムが放出される。タンパク質から遊離したヘムは細胞毒性を持つことが知られており、マラリ原虫の場合、ヘムを結晶化す ることで無毒化している。マラリア原虫におけるヘム結晶化は創薬のターゲットとにもなっている重要なプロセスであるにもかかわら ず、その詳細な機構は明らかとなっていない。そこで本研究では、近年マラリア原虫内で発見されたヘム結晶化触媒酵素Heme Detoxif ication Protein (HDP)の反応機構を分光学的手法と遺伝子工学的手法を組み合わせて検討した。また、吸血性昆虫であるサシガメか ら発見されたヘム結晶化酵素Alpha-Glucosidase (AGLU)についても反応機構を調べた。 変異体を利用した分光学的解析により、HDPは2つのヘムを結合し、ヘム結晶化の核となるヘム二量体形成を触媒している事が示唆された。この反応過程において複数のヒスチジン残基が活性に寄与していることが明らかとなり、ヘム結晶化酵素反応において重要な役割を果たしているアミノ酸残基を同定することに成功した。またAGLUに関してはヘム結晶化活性を持つ再構成タンパク質の調製に成功し、変異体を利用した分光学的解析により、HDP同様ヒスチジン残基がヘム結晶化活性に関与していることが示された。これらの結果は、HDP、AGLU共にヘム結晶化反応においてタンパク質内部のヒスチジン残基が鍵となる事を示唆しており、ヘム結晶化反応を理解する上で重要な知見が得られたと考えられる。
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