2012 Fiscal Year Research-status Report
RNAの耐熱性効果に関わるRNA成熟作用マシナリーの動的分子認識機構の解明
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24770125
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平田 章 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (60527381)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | RNA成熟 / アーキア(古細菌) |
Research Abstract |
本年度は以下の2点に絞り研究を実施し、さらにRNA成熟化マシナリーの1つであるtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ(EndA)の新規サブユニット構造を決定した。 (1)TkoTrm11の生化学的解析 超好熱性アーキア(古細菌)Thermococcus kodakarensis (Tko)Trm11の組換えタンパク質を大腸菌発現系システムを利用して調製することができた。また、3段階からなるカラムクロマトグラフィーを行うことにより、SDS-PAGEで単一バンドを示す高純度TkoTrm11を精製することができた。酵素学的性質を決定した結果、TkoTrm11はトリプトファンtRNA転写産物のG10のN2位をジメチル化する酵素であることが判明した。 (2)TkoTrm11と基質RNAの複合体のX線結晶構造解析 精製したTkoTrm11を市販の結晶化スクリーニングキットを使用し、ハンギングドロップ蒸気拡散法により結晶化した。その結果、直方形のTkoTrm11の結晶を得ることに成功し、放射光施設(SPring-8)のX線を結晶に照射したところ、2.0Å分解能のX線回折点を確認することができた。 (3)アーキアEndAの新規サブユニット構造のX線結晶構造解析 世界最小クラスのアーキアであるARMANが保持するEndAのX線結晶構造解析にも成功した。その立体構造は新規の3つのユニットから成り、サブユニットが2量体を形成することで触媒活性を持つことが分かった。また、変異体解析の結果、活性部位に近傍する特異的なループ上のリジン残基が基質認識に関与していることが明らかになった。この研究成果をNucleic Acids Research誌に論文報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Aae Trm1の研究に着手することはできなかったが、当初の予定通り、TkoTrm11の酵素学的性質を決定し、2.0Å分解能以上のX線回折点を持つ結晶を作成することができた。そのため、TkoTrm11と基質RNAの複合体構造を解く前に、TkoTrm11単独の新規構造を決定する機会を得ることができた。また、これ以外にも、RNA成熟化マシナリーの1つであるARMAN-EndAのX線結晶構造解析を行ったところ、見事にその新規構造を明らかにし、その構造情報に基づく変異解析を行った結果、基質認識機構についても考察することができた。この研究成果をNucleic Acids Research誌に論文報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
TkoTrm11に関する研究成果を得つつあるので、次年度は、TkoTrm11に絞り以下のように研究を進めていく方針である。 (1)TkoTrm11単独及びTkoTrm11-S-アデノシルメチオニン(SAM)複合体のX線結晶構造解析 既に得られているTkoTrm11の結晶に加えて、セレノメチオニンに置換したTkoTrm11の結晶も準備し、単波長異常分散法で放射光施設(SPring-8)においてデータ測定を行いTkoTrm11のX線結晶構造を決定する。また、TkoTrm11-SAMの複合体結晶も準備し、その構造を決定することで、活性部位を同定しTkoTrm11の基質認識および触媒反応機構について検討する予定である。 (2)TkoTrm11-基質tRNA-シネフンギンの三者複合体のX線結晶構造解析 当初の予定通り、TkoTrm11の動的分子認識機構を解明するために、三者複合体のX線結晶構造解析に着手する予定である。 (3)TkoTrm11の細胞内での機能を調べる 当初の予定通り、TkoTrm11の生理機能を探る目的で、遺伝子破壊株を作成し、その表現型分析を行う。また、破壊株からトリプトファンtRNAを抽出し、G10のN2位におけるメチル基修飾によるtRNAtrpの耐熱性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、上記の研究を推進するに当たって必要な分子生物学試薬、一般試薬、プラスチック製品などを購入するための物品費に企てる。また、SPring-8でのデータ測定、さらに、研究成果を国内外で開催される学会で発表し、国際的な学術雑誌への投稿を予想しているため、旅費等に企てる予定である。
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Research Products
(5 results)