2012 Fiscal Year Research-status Report
システイン残基修飾を介したペルオキシソームタンパク質輸送の制御
Project/Area Number |
24770130
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥本 寛治 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20363319)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | ペルオキシソーム / ユビキチン / タンパク質輸送 |
Research Abstract |
Pex5pはペルオキシソームマトリクスタンパク質輸送の中心的分子である。申請者は、Pex5pの保存されたシステイン残基がチオエステル結合を介したモノユビキチン化修飾(Cys-Ub化と略)されることを見出し、このPex5pの独特なUb化修飾がマトリクスタンパク質輸送に必須であることを明らかにした。本研究では、Pex5pのCys-Ub化修飾の分子基盤、および一般的なリシン残基ではなくシステイン残基のUb化が必須である生理的意義を解明し、「Ub化以外のシステイン残基修飾によるPex5pのCys-Ub化およびマトリクスタンパク質輸送の制御」という作業仮説を検証する。本年度はPex5pのCys-Ub化修飾に必要な分子群の探索を行い、ペルオキシソーム欠損性CHO変異細胞のペルオキシソーム画分の解析から、RINGペルオキシンがCys-Ub化に必要であることを見出した。これまでの研究で、RINGペルオキシンのうちPex10p/Pex12p複合体がPex5pのリシン残基をUb化修飾する活性を検出しており、同じE3が異なる様式のユビキチン化修飾を触媒することが強く示唆された。また、Pex5pのCys-Ub化に特異的に機能するE2の同定も試みている。一方、Pex5pのCys-Ub化修飾が細胞内環境変化と関連することを示唆する結果が得られてきている。Pex5pのシステイン残基を介した新たな制御機構の可能性を示すもので、詳細な解析を行う予定である。関連する研究成果として、新規に分離したPEX5欠損性CHO変異細胞を用いた解析によりPex5pの新たな機能を見出し、国際誌Biochemical Journalに発表した(Natsuyama R, Okumoto K, Fujiki Y. Biochem. J. 449, 195-207 (2013))。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に挙げていたPex5pのCys-Ub化の分子機盤の解明のうち、E2についてはまだ同定には至っていないものの、E3については方向性が見出せた。一方で、Pex5pのCys-Ub化に影響を及ぼす要因として、いくつかの細胞内環境変化を見出しつつあり、新たな展開が期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
Pex5pのCys-Ub化に必要なE2の同定を引き続き進める。同時に平成25年度研究計画に基づいて、Cys-Ub化Pex5pに結合する因子の検索などを行う。また、RNAi法によるノックダウンやIn vitro Pex5p輸送実験系、In vitro Ub化反応系、およびペルオキシソーム欠損性CHO細胞を用いたin vivoの実験を駆使して、Pex5pのCys-Ub化修飾によるPex5pのシャトリングおよびマトリクスタンパク質輸送の制御機構を解析する。また、Pex5pのCys-Ub化が細胞内環境変化によって調節されうることを示唆する結果を踏まえ、研究計画時に立てていた「Ub化以外のシステイン残基修飾によるPex5pのCys-Ub化およびマトリクスタンパク質輸送の制御機構」という作業仮説を検証するべく解析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
|
Research Products
(4 results)