2012 Fiscal Year Research-status Report
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24770134
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
原田 陽一郎 独立行政法人理化学研究所, 糖鎖代謝学研究チーム, 特別研究員 (80464147)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖鎖代謝 |
Research Abstract |
本研究は、「小胞体内腔における遊離糖鎖生成機構の解明」を目的とする。この目的を達成するため、1.小胞体内腔において遊離糖鎖を生成する酵素の同定を行っている。我々が確立したPNGaseとENGaseのダブルノックアウトのマウス胎児線維芽細胞(MEF)を用いた生化学的解析から、オリゴ糖転移酵素が遊離糖鎖の生成に関与することが示唆された。さらに、PNGaseとENGaseを欠損している出芽酵母を生きた試験管として用い、2つあるマウスのオリゴ糖転移酵素の触媒サブユニット(STT3AおよびSTT3B)を過剰発現させたところ、少なくともSTT3Aサブユニットは遊離糖鎖を生成する活性を持つことが示された。 さらに本研究では、糖鎖の主要な炭素源であるグルコースに着目し、遊離糖鎖が生成される生理的意義の解明を目指している。2.細胞に供給されるグルコース量が、小胞体における遊離糖鎖の生成に及ぼす影響の解析を行った。PNGaseとENGaseのダブルノックアウトのMEFを用いた生化学的解析から、グルコース量によって、遊離糖鎖の構造が大きく変化することを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の1つである、小胞体内腔で遊離糖鎖を生成する酵素の同定において、出芽酵母を生きた試験管として用い、マウスのオリゴ糖転移酵素が遊離糖鎖を生成する活性を持つことを突き止めた点は非常に大きな進歩である。一方で、当初計画していたRNAi法によるオリゴ糖転移酵素の遊離糖鎖活性の検証が、ノックダウンの低効率のため、行うことが出来ていない点は改善の余地がある。 本研究のもう一つの目的である、小胞体で遊離糖鎖が生成される生理的意義の解明において、グルコースの量を変化させただけで、遊離糖鎖の構造が大きく変化することを発見した点は、遊離糖鎖の新たな代謝機構の発見につながる大きな進歩である。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAi法を用いて、哺乳動物細胞中で、オリゴ糖転移酵素の遊離糖鎖活性の検証を引き続き行う。そのために、トランスフェクション効率の改善やsiRNAの配列の最適化などを行う。 グルコースによる遊離糖鎖の構造変化の原因を突き止めるため、遊離糖鎖の起源であるドリコールピロリン酸結合型糖鎖の代謝が、グルコースによってどのように変化するかを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
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