2013 Fiscal Year Annual Research Report
脂質分布と膜物性の同時可視化で迫る糸状仮足形成における脂質ラフト動態と機能の解明
Project/Area Number |
24770135
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岸本 拓磨 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 基礎科学特別研究員 (70585158)
|
Keywords | 脂質ドメイン / コレステロール / Cdc42 / 糸状仮足 / 細胞膜 / 脂質二重層 |
Research Abstract |
本年度は、糸状仮足先端に形成される細胞膜外層コレステロールドメインに着目し、その裏側にある因子の特定を行った。細胞膜内層では昨年度に関連が示唆されたホスファチジルイノシトール脂質群に加えて、コレステロールプローブの細胞膜内層発現系を構築した。その結果、細胞膜外層コレステロールドメイン裏側の内層ではコレステロールドメインが劇的に減少している可能性が示唆された。続いて、細胞膜内層脂質よって制御される糸状仮足形成アクチン細胞骨格関連因子と細胞膜外層コレステロールドメインの関連性について調査を行った。昨年度に関連が示唆された、ホスファチジルイノシトール脂質群と結合性を示し、アクチン細胞骨格形成において中心的役割を担うN-WASPが一過性で局在した。そのシグナルの上流に位置し、アクチン重合を制御することで糸状仮足の形成に重要な低分子量GTPase CDC42は糸状仮足の先端に局在し、糸状仮足形成の進展とともに構造全体的に局在が拡散する動態が確認された。変異の強制発現や薬剤処理によりCDC42の活性を変化させる事で、コレステロールドメインが劇的に減少したが、他の脂質群については大きな変化が確認されなかった。コレステロールを細胞膜より除去する操作、または過剰添加する操作を用いたコレステロール量の調整によりCdc42の活性化型が増減した事から、コレステロールの量とCdc42の活性に相関が確認され、さらに糸状仮足自体の形成に大きな影響を及ぼした。一方、アクチン重合を阻害する処理をした場合、コレステロールドメインに変化は見られなかった。これらの結果は、コレステロールドメインの形成とCdc42の活性化が相互に影響するフィードバック制御の存在を示唆する。この制御によりCdc42の活性化が起る事で、その下流に位置するタンパク質を制御しアクチン重合を引き起こし、糸状仮足形成を促していると推測される。
|
Research Products
(2 results)
-
[Journal Article] Binding of a pleurotolysin ortholog from Pleurotus eryngii to sphingomyelin and cholesterol-rich membrane domains.2013
Author(s)
Hema Balakrishna Bhat, Takuma Kishimoto, Mitsuhiro Abe, Asami Makino, Takehiko Inaba, Motohide Murate, Naoshi Dohmae, Atsushi Kurahashi, Kozo Nishibori, Fumihiro Fujimori, Peter Greimel, Reiko Ishitsuka and Toshihide Kobayashi
-
Journal Title
Journal of Lipid Research
Volume: 54
Pages: 2933-2943
DOI
Peer Reviewed
-